Number28 / VR 研究者の サイトマップ つづき
【( 8½ )総目次 】
Blog作者(私)のための「暫定 総目次」の 解説付き使い方
※ ここから「全く新規の」VR製品や VRシアターを創るための、有機体論・機械論でない化生論の作り方は?という話になります。
a)映画のような「第2班」を作って「絵コンテ」に沿った並行作業をする、
b)映画の関係者試写会のような「全体プレビュー」をなるべく早くやって、欠けている場面を見つけ、冗長な場面を削る、
c)最後の微調整(演出の強調)のために、似た作品の経験がある遊軍(実力ある助っ人、先輩など)を見つけておいて、部品の造り直しや プレショーに参加して貰い「納期に間に合わせる」ことになりますが、詳しくは、次回以降に。
監督が シナリオも自分で書いて撮っている劇映画は、b)で削るべき場面が シナリオへの思い入れで 削れなくて冗長な部分が残っている場合が多いです。
信頼できる編集者に ばさばさ削って貰うことです。
どうして このような開発手法が必要になるかと言えば、(繰り返しますが)私たちの作っている作品が、VR作品だからです。それは、「化生論科学 Magical tradition」の製品(一般システム)で、フェロー武田の「VR構成要素図」で示すと「観客・表示装置・バーチャルな世界、そして バーチャルな世界に変化を与える入力装置」から構成されています。そこに示されているのは「色・性質・意味の変化や コレスポンデンス」です。コレスポンデンスというのは、主に「大宇宙と小宇宙(人体)の照応性」のことで、星の配置や 幾何学、数理モデルが 人間の体内の符合する臓器(とその働き)に照応しており、人間の自発的な行動は 世界にそれに照応する結果を生じさせます。
どうして このような開発手法が必要になるかと言えば、(繰り返しますが)私たちの作っている作品が、VR作品だからです。それは、「化生論科学 Magical tradition」の製品(一般システム)で、フェロー武田の「VR構成要素図」で示すと「観客・表示装置・バーチャルな世界、そして バーチャルな世界に変化を与える入力装置」から構成されています。そこに示されているのは「色・性質・意味の変化や コレスポンデンス」です。コレスポンデンスというのは、主に「大宇宙と小宇宙(人体)の照応性」のことで、星の配置や 幾何学、数理モデルが 人間の体内の符合する臓器(とその働き)に照応しており、人間の自発的な行動は 世界にそれに照応する結果を生じさせます。
ちなみに「有機体論科学 Organic tradition」は「観客・表示装置・バーチャルな世界」によって表示され、成長とか目的論を構成します。花を見て「花言葉」を連想する。予備校の看板を見て、有名校への合格を連想することなどです。
そして「機械論科学 Mechanistic tradition」は、VR作品の「表示装置と入力装置」によって表示され、永遠性や因果律を示します。契約している修理業者に電話すると、直しに来て貰えるのが「機械」部分です。
以上は、また詳しく説明します。
※ IVRCの作品が国際学会に独自応募して採択されている理由の一つに、予選大会でも100人以上の観客に体験して貰えていることが挙げられます。これは、上記の b)のバリエーションです、
「IVRC予選」 → 手直し → 「決勝大会」 → 手直し →「国際学会展示採択」
テーマパークや 映画製作では、正式公開前に「sneak preview」を行なって観客の反応を観察し、撮り直しや追加撮影が必要な箇所を見つけています。(SEGAの業務用ゲーム機の「ロケテスト」と同じです。)IVRCの場合は、予選→決勝の「大会展示の間の期間」に手直しが行なわれます。予選のチラシを観客に持ち帰って貰って、「また是非 決勝でも この作品を体験して、改良した結果についての感想を聞かせて下さい」と頼んでおくと良いかも知れません。
ベリー公のいとも豪華なる時祷書 15世紀 コンデ美術館附属図書館
有機体論、機械論、化生論について、いろいろ書いていますが、〈セガの武田さんが「受け狙い」で変なことを言い出した〉と勘違いして、これを読んでいる友人諸君が おられるかも知れません。
念のため、17世紀(1623年)に刊行された超有名な 化生論の文献(ジャン・デスパニエ著『ヘルメス哲学の秘法』)の翻訳を一部、引用します。この本の ある図版を、カール・ユングが『心理学と錬金術』で 細かく分析しています。
白水社 ヘルメス文書② 『自然哲学再興』『ヘルメス哲学の秘法』pp.122-125です。1977年に 2000円で発売されたときには、非常に嬉しかったです。20世紀に ベルタランフィの『一般システム科学』という「化生論科学」を、間違って機械論だと錯覚して、労災認定の従業員を多数生み出す自称科学者が大勢出てくることを、著者の錬金術師 化生論者の ジャン・デスパニエが 17世紀に まるで予言していたようにも思えます。なお、私も(16)の巻末と(17)に、離れ小島のように (薔薇十字団の指南書である)小説 『化学の結婚』(1616年)を引用しておきました。上のデスパニエと 内容を比較して下さい。
神と自然を崇敬する / 悪事に関わらない / 化生論の科学者・技術者への援助を惜しまない / 金儲けや違法献金には関わらない / 神に召される以上の長命を望まない
(文章の要約は 私です)
これらは、薔薇十字団の団員規約でした。
これらは、薔薇十字団の団員規約でした。
デスパニエの『ヘルメス哲学の秘法』と 薔薇十字団に 直接の関係は無いようです(薔薇十字団で参考書の一つで読まれただけです)が、日本版の扉と本書冒頭の「勧告」を載せておきます。
下は、『原典 ルネサンス自然学』(下巻)から、ロバート・ボイル(『ボイルの法則』)著「実験の失敗について」です。ボイルは、科学の3つの源流では「機械論」に分類されますが、内容はご覧の通りです。厚い本なので、真ん中がスキャンできていません。
『原典 ルネサンス自然学』は、一度は図書館で眺めておくと良い本です。
※ なお『プリント倶楽部』の見学は、男性は 必ず必ず必ず 身内の女性同伴で。死角になるので、男性客だけの利用を断るお店が多いです。(いたずらで、女性客のスカートに火を点けようとした「悪ガキ」がいたからだと伝えられています。)当然ですが、お店で他の女性の利用客に、突然 声を掛けるのは失礼です。十字軍も 聖地巡礼だから途中で食事を歓待されるだろう、と甘く考えて手ぶらで出かけ、東欧人に食事をねだって 迷惑がられて排斥されました。学術調査なら、事前にお店に断った上で 誤解を生じないための「アンケート用紙」などの準備を予めして下さい。
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ところで、H.カーニイ著 中山茂・高柳雄一訳『科学革命の時代‐コペルニクスからニュートンへ』(原著1971年、平凡社刊1972年、1983年)が、3つの科学の源流についての議論を「1500年から1700年」に限ったのは、賢明でした。というのは、コジモ・デ・メディチ(1464年没)が、マルシリオ・フィチーノに命じて『ヘルメス文書』の翻訳に着手させたのは1463年(刊行は1471年)だったからで、この時から前の時代について 3つの科学の影響関係を調べ始めると アラビア科学・インド科学を巻き込んで大変「複雑」になるからです。皆さんも、3つの科学の源流に興味のある方は、カーニー先生の本から始めるのが良いと私は思います。
【有機体論】アリストテレス、ガレーノス、プトレマイオスら。1650年頃までの「社会常識」でした。(The Organic tradition)
【機械論】ガリレオ、メルセンヌ、デカルト、パスカル、ボイル、ロイヤル・ソサエティ、ホッブスら(The Mechanistic tradition)
【化生論、ヘルメス主義】コペルニクス、ジョン・ディー、ブルーノ、ギルバート、パラケルスス、ファン・ヘルモント、ケプラーら(The Magical tradition)
【有機体論】アリストテレス、ガレーノス、プトレマイオスら。1650年頃までの「社会常識」でした。(The Organic tradition)
【機械論】ガリレオ、メルセンヌ、デカルト、パスカル、ボイル、ロイヤル・ソサエティ、ホッブスら(The Mechanistic tradition)
【化生論、ヘルメス主義】コペルニクス、ジョン・ディー、ブルーノ、ギルバート、パラケルスス、ファン・ヘルモント、ケプラーら(The Magical tradition)
1463年より昔の科学思想の伝播については、坂本賢三著『科学思想史』(岩波全書、2008年)を参照して下さい。調べるのに「覚悟」は必要ですが、はまると止まらなくなります。
逆に、薔薇十字団(1614年)以降については、展開が ある程度はっきりしています。デイム フランセス・イエイツの The Rosicrucian Enlightenment(1972年、邦訳『薔薇十字の覚醒』)には、1614 - 16年の この秘密組織の基本文献が整理され紹介されています。薔薇十字団の 有名な二つの「宣言」が、1614年に ドイツで刊行された著者不明の怪文書「全世界の普遍的かつ総体的改革」の付録 『友愛団の名声』(ファーマ・フラテルニタティス)と、そして、1615年の 『友愛団の信条(友愛団の告白)』(コンフェッシオ・フラテルニタティス)です。『…覚醒』には全訳が載っています。また、1616年の小説『化学の結婚』については、『世界の奇書・総解説』(自由國民社、1998年)に有田忠朗氏による詳細な要約が載っており、『…覚醒』にも内容が紹介されています。1623年にパリで、薔薇十字団(1984年の Macintosh)の登場によって、ローマ・カトリック教会の強圧的な権威(1992年以前の IBMの機械論)が 倒されるのではないかと想像してパリ中が騒然とするような ある事件(騒ぎ)が起こりました。しかし(生じた騒ぎの大きさに驚いたのか)薔薇十字団員は どこからも現れず、結果として ローマ教会は「アリストテレス科学」だけを公認(機械論は黙認)して「主に農作物由来の言葉で工作物までを含んだ この世界を記述しようと努力する」ことになりました。生産者の大部分が、農業従事者だったからです。
余談ですが、フランスではパソコンを「オーディナトゥール」と呼んでいます。この名前は IBM社が「電子計算機」をフランスで売るために ある文献学者に頼んで考えて貰った名前だそうで、聖書の「世界に秩序を創られた神」から Ordinateur = mise en ordre(秩序を与える)が その語源だそうです。(「秩序生成機」なので)私には何となく、アリストテレス風の命名に思えます。
ところで、薔薇十字団の規約に形を変えたディー博士の科学的方法論についてですが、英国王立学会では どう受け取られたかを、また今後に紹介します。
余談ですが、フランスではパソコンを「オーディナトゥール」と呼んでいます。この名前は IBM社が「電子計算機」をフランスで売るために ある文献学者に頼んで考えて貰った名前だそうで、聖書の「世界に秩序を創られた神」から Ordinateur = mise en ordre(秩序を与える)が その語源だそうです。(「秩序生成機」なので)私には何となく、アリストテレス風の命名に思えます。
ところで、薔薇十字団の規約に形を変えたディー博士の科学的方法論についてですが、英国王立学会では どう受け取られたかを、また今後に紹介します。