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手扣

2011-07-09 09:00:49 | 七十年代作品【1979】

     ショウ カオ
原題   『手扣』 The Handcuff

又名:『手[金考]』(日本未公開)

公開日 1979/9/6(木) 

雄鷹電影公司 作品

1,390,799HK$ 1979年度第31位

スタッフ&キャスト

監督 午馬(ウー・マ)

出演 陳惠敏 (チャーリー・チャン)
   苗可秀(ノラ・ミャオ)
   嘉倫 (ガー・ルン)


解説

日本ではチャーリー・チャンの名で知られる陳恵敏(「怒れ!タイガー 必殺空手拳」)主演の現代アクション。かつて仲間だった2人の男の対照的な姿を描く。共演は「ドラゴンへの道」のノラ・ミャオ。チャーリー・チャンとは「クンフー・キッド」(77)以来の共演となる。ノラ・ミャオはチャーリー・チャンにケガを負わされ記憶喪失になった女性を演じる。刑事役をつとめた嘉倫は、83年に日本劇場公開した新藤恵美主演「チャイナスキャンダル艶舞」(原題:『狂情』)やIFDの『連環炮』(86)等、チャーリー・チャンとの共演作がいくつか存在する。監督は「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」のウー・マ。

ストーリー
主人公・阿龍(陳惠敏)はヤクザ。阿龍はマフィアのボス、青龍こと趙坤(唐菁)に親子同然のように可愛がられていた。世間は物騒であり、巷では殺人事件が起きている。阿龍は人殺しなど平気でやってのける凶悪犯なのだ。蕭其昌(嘉倫)は阿龍とは対照的に事件を難なく解決する敏腕刑事だ。ある日、阿龍は家宅侵入し住人を殺害、同居の莫秋霞(苗可秀)も殴打して気絶、記憶喪失に。夜、秋霞の病院へ押し入り、殺害を謀るがこれは待ち伏せのワナで阿龍は警察に取り押さえられた。蕭警部が取調べの部屋へ来ると、容疑者の阿龍がイスに座り沈黙して待っていた。ところが、顔を見合わせた瞬間、警部の表情に笑みがこぼれた。警部「阿強じゃないか!」阿龍「おまえ、阿昌だよな」 
そう、阿龍は偽名で本名を周偉強と言ったが、この2人は昔、不法入国した仲間だったのだ。秋霞は取調べで並んだ容疑者の中に犯人がをいるか尋問される。しかし、阿龍の顔を見つめたまま犯人はいないと証言してしまうのだった。そんな頃、警部の結婚5周年のパーティが盛大に開かれた。著名人を紹介される阿龍だったが気分が乗らず黙って帰ってしまう。その昔、船に乗って逃げてきたとき足を負傷したいた自分を助けてくれた事を思い出す警部…。その後、阿龍はボスに相談してクラブ歌手であった美鳳(王玉環)との結婚を許してもらう。美鳳は金持ちの太子超(鄭康業)と知り合い、いつも追い駆けられているが阿龍の忙しさのあまり美鳳は浮気の日々。マフィアの一員、阿勝(江濤)はボスからカジノの運営を任されている。ある時、仕事に失敗し大金が必要になるがボスからは金の支払いを断られる。ある日、阿龍が浮気していた美鳳を見つけ太子超に重傷を負わせ、美鳳を無惨な姿にしてしまう。ショックを受けていた阿龍はボスに励まされ気を取り直したかに見えた。秋霞の家を訪ねてみるが秋霞とは何も話さずに去る阿龍。すると、阿勝が車を止め、道で待っていた。バンコクから電話がありボスからある命令が下る。香港に運ばれてきた車と共にやってきたのは日本人レーサー(鹿村)だった。阿龍は車から麻薬を見つけるが日本人と対決して激闘の末彼を倒しヘロインを焼いてしまう。阿龍は次々と犯行を重ねてゆき警察から追われる毎日であった。逃走中に負傷した阿龍は秋霞の家に逃げ込み、傷口を自分で針で縫って処置をした。
その頃、麻薬所持の容疑でマフィアの一員、馮満生が逮捕された。すると阿勝は殺し屋にボスの殺害を依頼し、ボスは重傷を負う。いなくなったボスの代わりにボスの座に居座る阿勝。阿龍がボスを尋ねるとボスの姿がない。阿勝は馮満生がボスを殺して入院中だと騙す。それを聞いた阿龍はすぐに病院へ行くが、寝ている男がボスとは知らずに刺してしまう。逃げようとする阿龍はその声がボスであることに気づきボスと言葉を交わすがボスはすぐに息を引き取った。その後、阿龍が秋霞と一緒にいるところに警部が現れた。阿龍は警部に言う。「あと24時間、時間をくれ。秋霞は自分が怪我をさせてしまった。彼女に金を渡して病院で療養させたい」と。
阿龍は行動を開始する。阿勝を叩きのめし金を持ってフェリーに乗った。しかし、警部たちが後をつけフェーリーに乗り込むのだった。もう逃げられない。警部は数々の罪を犯した阿龍の手に警察官として手錠をかけた。隙を突いて銃を奪い、銃口を警部に向ける阿龍。すると、手錠を切ろうと発砲、そのまま海へ飛び込むのだった。阿龍は秋霞の家に金を持っていこうとするが、見張りがいて近寄れない。警部は通報され民家に立て籠もった阿龍を説得し警部に拳銃を渡す阿龍。しかし、外で上司と警察隊が銃を構えて待っていた・・・。 


香港でスマッシュヒットを飛ばした現代劇。チャーリーがやりたい事をやってる様子も随所に見られるが監督がウー・マということで全く彼の思い通りの映画という訳ではない気がする。仕上がりの良さはやはり監督ウー・マの力によるものだと思う。
監督としてはウー・マは『聾唖剣』など早くからその才能を発揮してた。
70年に初監督した『怒劍狂刀』は是非近いうちに解説してみようと思う。

鄭康業も、現代劇だと非常に新鮮に映るのだが、
 
ウー・マにかかれば
こんな表情さえ引き出してくるのだ。
  ここまでオーバーな顔は見たことない。
邵氏を抜けた後、「ドラゴン・ロード」に出るまでの彼が面白いのではないかと思う。

それにしても
ウー・マと実生活で付き合っていた女、ウォン・ヨォクワン。
 
あのオーボーの女優である。
霊幻道士シリーズ以外ではほとんど見た事はなかったので
70年代の少し若い頃にもウー・マの映画に出ていたなんて驚いた。
80年代や90年代に有名になった俳優が実はもっと昔にはこんな役をしていた・・的な見方ですが、これもなかなか面白いですね。ウー・マとはいつ知り合ったのか時期は不明ながら、もしやこの頃ではないでしょうか。

嘉倫は気のよい刑事でハマリ役。他にも刑事ドラマがあればもっと見てみたい。
もしかしたらチャーリーとは仲が良くて「チャイナスキャンダル」で友情出演したのかも。(どういう訳か警部といえばこの人、フィリップ・チャンも無理矢理出演したように一瞬だけ顔を見せるので可笑しいったらありゃしない。)麻薬の取引がこの映画では描かれるがオランダが関係しているようだ。オランダは何か麻薬と関係があるのだろうか?

嘉倫が86年に出た『連環炮』では出演者も似通っているがご覧の通り、ヒゲ面で登場する。(この映画の英語名は"The Man from Holland"つまりオランダから来た男だ)

こちらは『連環炮』より

『連環炮』で、銃を撃ち合う高飛とチャーリー

時裝片は昔の香港の様子をそのまま映し出しているので、当時はこんなだったのかと思わず見入ってしまう。
例えばチャーリーがいくつもの外車を乗り回してる。
懐かしのフェラーリ308GTBだ。
「チャイナ…」でも外車に乗ってたからもしかして外車マニアだったりして。
他にもBMWー3.5CSLなんかも出てくる。(運転してるのは鹿村だけどね^^)
 鹿村VSチャーリー

そして、この演出が仰天させられる。邵氏のある大物俳優がノンクレジットで出演しているではないか。名前を名乗らずボスを狙う殺し屋という役で。
チャーリーと戦ったと思えばサラっと消えるという展開で、
こんな人がいきなり出てきてビックリ箱みたいな映画を作ってしまうのだから
ウー・マには参ってしまいます。
最後にチャーリー・チャンについて。チャーリーの演技力は素晴らしく凶悪な犯人を演じきっている。その演技はまるで「空手ヘラクレス」のときの主人公を彷彿させる。凶悪な事ばかりする犯人だが、ボスの事を慕い、どこか真面目で秋霞を心配する阿龍。そんな主人公を刑事ではあるが彼の持つ性格を知りつくし最後の最後まで信じようとする姿に涙するとても良い70年代の刑事ドラマでした。終

 

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