電影フリークス ~映画のブログ~

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邵氏『七煞』

2014-10-25 11:40:11 | 七十年代作品【1979】

今日の記事。邵氏の監督、スン・チョン登場です。
スン・チョンの作品だと、純粋に『風林火山』がいいですね!
邵氏ならやっぱり一番好きなのは『教頭』かな。ティ・ロンの見せる演技は本当に良かったです。
まぁ割とクオリティの高い作品を続出させてたと思われるスン・チョン監督ですが、その守備範囲は意外に広く文芸、コメディ、現代アクション、カンフー、キョンシーホラー、そして武侠片と本当に幅広い。(緊張感のある場面を撮ることに厳しい目を持っていることから、”緊張大師”と呼ばれているほど。)
本作『七殺』は元華(ユン・ワー)、王龍威以外はなじみがあまり無いメンツではありますが、ユン・ワーはいかにもワルというメーキャップをして彼らしさを醸し出しているんです。
私が好きなユン・ピョウ主演の「急凍奇侠」(リメイクのドニー版「アイスマン(●封)」も観ましたが最高っすね!!これは是非みてね!)でのユン・ワーのワルっぷりも凄まじかったですが、この「七殺」ではとにかくワル元華が炸裂してて面白いんです。また、この映画のボス役の王龍威も最初から最後までずっと出ずっぱりですので龍威先生のファンにはたまらない魅力があるでしょうね。

★ワンポイント・レッスン
七殺の読み「チーシャ」(日本語的発音・・・”地井さん”でOK)

繁体字のサツという字は、本編を見ると、散々のぼりや壁などに”殺”の字を使っているのに日本語には無い文字である”サツ”を当てています。
繁体字の「サツ」は映画のタイトルにはたまに使われますよね。しかし、『大殺手』のように”殺”の方が使われるケースもあるのです。使い分けがハッキリしない「サツ」ですが、なにか微妙なニュアンスの違いでもあるのかな?

”七殺”の意味ですが、日本語にすると、七つの凶悪な神・・という意味になります。
そしてその裏には、監督の映画に対する思いが込められているんです。というのも、この映画では7人の新人を起用して彼らの活躍を期待するという意味が込められていたんですね。映画に新しい人材を出演させて将来を期待するというスン・チョンの計らいはとても素晴らしいことではありませんか。

今回の記事のタイトルにはあえて伝統的な繁体字の方を使ってみましたが
文字化け率が高いようならタイトルを変更する予定です。

なお、『七殺』については、以前メモを書いていますので(こちら)も参照してください。 

 

◇『七殺』が影響を受けたと思われる作品

『五毒』

◇『七殺』が影響を与えたと思われる作品

『叉手』

・シーン別ストーリー解説

シーン1:本部
七殺會には教祖が制定した七つの規律があり、それを破るような行為には死が待っているという恐ろしい組織である。教祖は細い洞窟のような管を経由して、命令書を本部に送るという特殊な方法で指令を下すが、その教祖の素性は分からず全てが神秘のベールに包まれている。第一の将、ペン(王龍威)が七殺會の首領をつとめ、続く将たちの活動をコントロールする。ある日、各地より代表として選ばれた将軍、ファンタオ([登β]偉豪)、ルー(羅勝)、リャンチェ(羅軍)の三名が結集し、若手三武将としてメンバーに加わった。リャンチェが第六の将、ルーが第七の将、ファンタオが第八の将に任命される。洞窟の奥に隠された七殺會の本部には、首領を含め5人の将たちが待機、その三人を首領のペンが出迎える。

まずは腕だめしとばかりに、隠されていた捕虜を解放し、首領が捕虜に向かって将を1人でも倒せたら釈放すると言い放ったが、ルーの帽裏飛輪が炸裂、強靭な将たちのパワーの前では全く歯が立たなかった。

シーン2:女将
七殺會で働く女将・イン(劉慧玲)は侍女たちを教育し、将軍たちの世話をする立場。新しいメンバーの加入と、そして教祖のために祝杯をあげるメンバーたち。豚の頭はNo2のシーチャオ(元華)の大の好物だった。


シーン3:儀式
天からの命を受けた七殺會壊滅組織を率いるヤン将軍は、信者とともに儀式を行っていた。信者は、肉親を殺害された家族たちである。憎き悪人たちの像を並べ、復讐の機会をうかがっている。そんなある時、剣士ファン(ディック・ウェイ)より手紙が届けられた。討伐のための準備も整い、いよいよ立ち上がる反対組織。戦闘開始となる!

シーン4:客棧
本部にいる将たちに七殺會の教祖から指令が下る。その夜、七殺會も行動が開始された。途中、大興隆客棧にいた乞食たちと騒動を起こすルーたち若手三武将。ホー(元彬)とリャンイン(石崗)が客棧に泊まり込み、その夜、敵の信者を倒そうとするが、あと一歩のところで逃げられてしまった。

 
シーン5:黄石崗
教祖から指令のあった場所、黄石崗へ向かう将たち。そこには待ち伏せする信者が先にいるとも知らずに任務遂行に走る。ヤンが乗っていると思われた籠にはファンが代わりに潜伏しており、意表をつかれたファンタオは負傷してしまう。
これはヤン将軍が仕掛けたワナであり、将たちに不信感を持たせるのが目的であったこの作戦は見事成功する。これが原因で七殺會の内部には亀裂が生じはじめていた。
本部では雙腰刀使いのファンタオに疑い目が向けられていた。負傷したファンタオは土地の藩主チョウ(谷峰)に出会う。その後、本部では新たな指令が下った。隠されたスパイを探すミッションだ。その時、ファンタオが本部に帰ってきた。無敗の七殺會が負けることなどあり得ないと、首領は激怒する。
しかし、客棧での怪しげな行動からルーが疑われる羽目に。NO3のホー(元彬)がルーを処罰する形となり、ここで最初の1人、ルーが倒れた。


シーン6:次の指令
次の指令が下った。宝石を輸送する一行を襲撃せよ、との指令だったが、3つの班に分かれて決行することとなった。
大雨の中、将たちは大勢の客がいる店に来ていた。そこにスパイが現れ、乱闘、その場は大騒ぎに。雨が上がり、古い家屋に集まって密書を持っていた捕虜の男(黄志明)に詰め寄る首領たち。密書にはスパイの出身地を表す暗号「魯」が記されていた。魯とは山東の旧名だった。その結果、No5リャンインの弟、山東出身のリャンチェが次の標的となり、持ち味であった雙手鋼環を駆使するもリャンインの得意技である飛び道具・背箭を受けてその場に倒れてしまう。

 


シーン7:8年前の出来事
今から8年前、七殺會には10人の将がいたが、ヤン将軍ら敵の部隊に9人が倒され、教祖が1人だけ生き残った。その後、七殺會は復活し現在の状況まで回復していたのだった。事実を知り、愕然とする将たち。その後、首領たちはファンタオの紹介で藩主チョウの家へ行き、話をつける。目的は資金の調達で、それはファンタオの進言であったが七殺會の危機を感じた首領が取った行動でもあった。
夜、本部にいた女将インはファンタオの部屋を訪れ、シーチャオが怪しいと吹き込む。一方で、首領とシーチャオはリャンインがスパイではないかと疑いはじめていた。その2人が話している横から侍女たちに盗み聞きさせていたインは、シーチャオに見つかってその訳を問われるが、全く怯む様子がなかった。2人は完全に敵対する格好となり、もはや七殺會は崩壊寸前の状態となった。


シーン8:マスクの男
密かにインは馬に乗って本部から離れた場所へ移動する。そこは山に住む謎の親子と連絡を取るため場所であり、横たわった大きな木の幹が秘密のメモが入った小箱の隠し場所だった。
しかし、ヤン将軍の信者が現れ、隠し場所も見つかってしまった。その時、マスクを付けた男がインを助けた。この謎の男はインの味方だったのだ。途中から剣士ファンも出てきたがマスク男の槍に倒された。



シーン9:客棧ふたたび
次の指令を受けた首領たち6人の将は大興隆客棧へ向かう。今回の内容はヤン将軍の首だ。客棧に到着した一行は様子がおかしいことに気付き、敵の罠と思い込む。
しかし、そこに現れたのは教祖から派遣された3人のマスクの男たちだった。
そこでマスクの男からシーチャオの裏切り行為が暴露されるが、シーチャオをそれを認めずシーチャオ以外の5人の将VSシーチャオの戦いに突入する。高度なワザ・鷹爪手の持ち主シーチャオはそう簡単にはやられない。ホーが倒され、屋外へ逃れたシーチャオは追っ手の首領たちと応戦。勝負はつかず首領は教祖の判断に任せることに。本部に戻り、教祖からの命令書を読むイン。その内容を知ったシーチャオはインの喉を瞬く間に刺し、No.4のチュアン(マン・ディンゴー。当初、この役には麥徳羅が予定されていた)まで片付けるも、最後には反撃をくらい消滅してしまった。

 

 

シーン10:最終決戦
残った七殺會の将は首領ペン、リャンイン、ファンタオの3名となった。最も重要な教祖はいったい誰なのか!そして、ヤン将軍の行方や藩主チョウ、マスクを被った男たちの正体は・・・、謎はいくつも残る。このあと、最終局面をどう迎えるのか・・・!?

 

とにかく最後まで、ややこし過ぎるストーリー展開が続くので何度見ても何がどうなっているのかちょっと理解に苦しみますよ。この難解なストーリーでは下手すれば構築したせっかくの世界観すら失われてしまうではないでしょうか。結局、回りがすべてワルばかりとはいかず、真のワルはただ一人なのだけど(笑)。

タカの鋭い爪を使う元華には最後まで頑張ってもらいたかったが、身軽なアクロバティックなカンフーを見せ(装着してる武器が本当に良かったね!)かなりしぶとい、相当なワルっぷりだったので、まぁまぁその点は満足できました。

珍しいエピローグで余韻に浸ってみてはいかが。

 

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