電影フリークス ~映画のブログ~

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『神拳』(日本名:龍拳)タイトル解説の巻

2010-03-24 03:21:31 | 成龍的電影

休日にはのんびりと好きなことを考えることができます。
すると、やっぱりネタはこれ、成龍的電影。今回は『神拳』タイトル解説編のはじまり、はじまり~。

30年以上前の台湾映画、そして香港映画。これをどちらかに分類するという事は難しいのだが、”七十年代香港電影研究”では朱偉文氏がこの困難な分類作業を実践していた。
しかし、リストに載っていない『片腕ドラゴン』や『少林寺十八銅人』などは本当に台湾映画なのだろうか??

これについて香港電影資料館では”Prod.place:”という項目が付記されているページがある。上記リストには載っていない『獨臂拳王』のページには”香港”、『少林寺~』のページには”台灣”と記載されているのだ。(不思議なことに全く逆のことが記載されている別のサイトもある)
実際、古い映画の分類を自分でやってみるととても困難なのである。

台湾では、同じ映画でも香港とは別のタイトルが付けられている事が多いのも事実。理由は様々であるが、香港では上映されたことのない映画のタイトルが台湾では既に上映したタイトルに使われていたというケースもその一つだと思われる。

例えば羅維影業の78年度作品「龍拳」なのだがこれがそうなのではないかと思っていた。
台湾では『神拳』で公開

映画の製作前、台湾の脚本家である王中平は”唐山神拳”というシナリオを書いていたという。当然ながら『神拳』というタイトルはこの”唐山神拳”から取ったものであるはずだ。
その『神拳』は香港より1ヶ月早い79年3月に公開されている。『神拳』の方が先であったのだ。

このように羅維影業の『新精武門』からはじまる一連の作品は台湾で概ね先行公開している。その中で香港での公開記録が無く、長い間公開時期が不明であったジミー・ウォング主演『風、雨、雙流星』は台湾の資料によれば台湾では76年12月31日公開であることも分かった。これは単なる日付データだが研究者にとっては、この公開日というものが大きな“情報”となる。

ここで少々脱線。羅維影業設立当初、羅維は主役俳優にチャーリー・チャンやジミー・ウォングを考えていた。今、想像するとゾッとしてしまうが当初「蛇鶴八拳」にはチャーリーを、「成龍拳」にはとジミー&ジュディ・リーという組み合わせのキャスティングだったというから驚きだ。

話を戻すと、なぜ台湾では『神拳』のタイトルだったのか?
これについては長らく不明のまま…。台湾で『龍拳』という映画がすでに存在していれば話は簡単なのだが、いまのところまだ証拠はつかめておらず不明である。だが最近そんな気に、なぜかそんな気がしてならない状態になってしまっているのだ。
もしそうであればその名称は使えなかったので台湾では『神拳』に差し替えられた可能性もあると思う。

そういえば日本で80年代刊行された書物の中には確か”「神拳」という作品があったはず”という記述があったと記憶している。
今となってはどの書物に書かれていたのか思い出せないが、その詳細が分からない”神拳”という映画があったことが既に分かっていたのである。

その後、90年代後半になってCS放送で『神拳』の題名の映画が放送された。これにより上記の内容は証明されていたという経緯があった(但し結果的には「龍拳」と同じ映画のことであったけれども)。神拳イコール龍拳であることを認識していたのか不明であるが当時は資料も無く詳細が分からなかったと思われる。当時は雑誌に記事を載せられる映画評論家のような人たちでさえもジャッキーの知られざる未公開映画にも興味があったと思うのだ。

タイトルが漢字ならば基本的にはタイトルの重複は少ないから日本人なら簡単に区別できるし、映画を特定することが出来る(リメイク作品や何本かの例外を除いて)。逆になぜ例外が許されているのかが不可思議であるが、例えばその分かりやすい例としては「少林寺」なら大ヒットしたリー・リンチェイ(ジェット・リー)の82年版が有名だが、75年にも同じ『少林寺』(これは日本では「少林寺列伝」のDVDが発売済み)という映画があるといった具合である。今までに製作された映画で同じ名前のものはいったいいくつあるのだろう?

また英語のタイトルの場合には中文より種類が多くタイトルだけで映画を特定することは難しい。英文の書籍にポッとタイトルが載っていても本編の1シーンの画でもなければどの映画を指しているのか分からない事も多く困るのだ。例えば購入したいDVDがあったとしても英語題から買おうとするならば目的のDVDを買うことができないケースが多いという問題は誰でも経験していそうなものだ。("Dragon fist"で検索して『驚天動地』のDVDが届く可能性のも0%ではないと思う!(笑。)

それにしても今回のテーマ『神拳』(=「龍拳」)は典型的な復讐劇でしたが、入り込んでしまうのはマニアを唸らせるアクションさながら脚本の出来も良かったからでしょうか。

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 -終-


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