クロカメ日記

カメを中心に読んだ本のこと、見た映画のことや日々感じたことを書いていきます。

ひと 小野寺史宜著

2019-05-02 04:37:15 | 読書

 高校生で父を亡くし、それでも東京の大学へ進学。しかし、突然の母親死亡の知らせ。天涯孤独になった20歳の青年は大学を辞めるが、鳥取には帰らず、ただただ東京を彷徨う。ポケットの中には55円。そんな時、とある商店街の総菜屋の前を通りかかる。揚げ物のいい香り。こんなどん底でもお腹がすくんだと青年は思う。ここで初めて生きている事を実感する。店主に55円しか持っていない事を正直に話す。この会話から、彼の人生は再び動き始める。
 東京の中に昭和の香りがする。ピンチの時には、頼りなさいという人を素直に頼ればいい。同じ事を言ってくれる大人が、二人も現れる。昔ある人が僕に言った。貸しのある人生をおくりなさいと。しかし、これは決して貸しではない。けれど、苦しい時に手を差し伸べてくれるひとがいる人生には変わりが無いと思った。
 おそらく普通に歩いていては気付かない様な青年。しかし、この青年の中には物凄いドラマがあった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« リクガメハンバーガー | トップ | 三井寺 千団子まつり »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事