くまドン旅日記

写真が趣味です。自然の風景、旅行、歴史に興味を持って撮影を続けています。

名所江戸百景244  新国立競技場の問題について(4)

2015年08月05日 21時40分29秒 | 名所江戸百景
こんにちわ、「くまドン」です。

 先週は、佃島の住吉神社の例祭が3年に一度の本祭りで、撮影もする予定だったので、オリンピック関係のブログを出すのを控えてましたが、続きを書きます。「くまドン旅日記」としては、完全に脱線状態です。
 今回は写真が1枚もないので、全く別件ですが、佃島の住吉神社の祭りに行った時に撮影した東京湾大華火祭のポスターを載せておきましょう。


 それでは、相変わらずの素人(しろうと)の考えですが、新国立競技場の話に戻ります。
 あまりに高価すぎる建設費(2500億円以上)が大問題になり、安倍晋三首相の決断により、東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の整備計画が白紙撤回になり、計画の見直しが始まっています。
 見直しにより、天然芝の維持に問題のある開閉式屋根が無しになり、各団体の要望により、あれもこれもと採算性を無視して入れた施設もある程度減りましたが(全施設か対象どうかはわかりませんが)、それでも、「総工費を1000億円台半ば」という甘い話をしていたりしています。さらに文部省の一部からは「前提が不明なので、1900億円以下が目標」とか、規模を縮小しないと「2000億円越えは確実」などという話が続出しております。
 なにか、また建築費を吊り上げる雰囲気を作っている工作が裏で行われているようで嫌な感じでした。
 国民から過大な建設費で大反対を受けたのに、相変わらず、JSCなどの外部機関を含む文部省関係や各スポーツ団体の予算に対する考えの甘さが目立ちます。

 そのような中、前にもブログでお話ししました、計画見直しを提言していた建築家・槙文彦氏(86)らのグループが、7/30に都内の会見で、白紙撤回を受け「歓迎すべきこと。我々の初期の目的は果たした」と見解を示し、いくつかの提言をしました。政府に提出し、ひとまず活動を締めくくることにしたそうです。
 槙文彦氏をはじめとするグループの今後の整備計画の提言は以下の4つです。
 (「くまドン」は基本的にこの4つの提言を支持したいと思います。)
(1)建設規模 五輪会期中の最大約8万人の収容人数を会期後は5~6万人とすること
(2)中心機能 どの種目の専用施設とするかを早急に決めること
(3)工費 当初の建設整備予算である1300億円でも十分であること
(4)適切なプロジェクト遂行 設計施工者の選定は過程と結果の透明性確保が重要であること
(5)その他に質疑応答で、槙氏自身は「新案のデザインを担当する考えは」と質問に対し、「コンペに参加する気持ちはない」との回答で、整備計画に関わっていく考えを否定した。

 「くまドン」は上の槙文彦氏らのグループの提言を、素人ながらも税金を払っている国民として考えてみました。

 最初に(2)の「中心機能 どの種目の専用施設とするかを早急に決めること」ですが、
 オリンピック後の新国立競技場を運営維持費を考慮して、陸上競技用は必要なく、サッカーやラクビーなどの球技専用競技場にする案がありますので、「くまドン」は、この案で良いのかなと思います。
 正直、日本の陸上競技可能な競技場の数はあきれるぐらい多いのです。
 日本の陸上競技場の分類に「第一種陸上競技場」があります。
その言葉の定義は「日本選手権や国体(国民体育大会)など、日本陸連が主催する全国規模、および国際的な大会」に使用可能な陸上競技場です。各種競技を開催できるよう に、色々な項目があるのですが、国際大会のルールでは、短距離用の直走路や曲走路(400mトラック)は9レーン必要となります(国内大会は8レーンでも可能のようです)。
 そこで、この「第一種陸上競技場」が日本国内にどれだけあるかと調べてみたら、日本の全都道府県に1か2の競技場があるのです!(毎年、国体を都道府県の一カ所で開くたびに作られていった結果なのですが、すでに国体の都道府県開催も2巡目となっており、施設の運営・維持費なども含めて、問題をかかえた施設も多数造られています。(必要以上に公共事業獲得の為に造り続けるハコモノ行政の弊害(へいがい)と言う状態です。)

 その中で、国際大会可能な9レーンある陸上競技場が結構あります(素人なので細かい事は不明ですが)。例えば、
  東京スタジアム(味の素スタジアム、東京都) 収容能力49,970人
  横浜国際総合競技場(日産スタジアム、神奈川県) 収容能力72,327人
  熊谷スポーツ文化公園陸上競技場(埼玉県) 収容能力15,392人
  宮城スタジアム(宮城県) 収容能力49,133人
 さらに、群馬県、茨城県・・・・・など、日本各地にかなりの数の国際大会可能な陸上競技場がごろごろしています。
 この状況で、新国立競技場をオリンピック後に陸上競技場として残す必要は無しです。
 世界陸上競技選手権大会や、アジア大会、ユニバーシアード(学生のためのオリンピック)を開くには十分でしょう。逆に過大な観客席は不要で、会場警備の点を考えたら、地方開催の方が有利かもしれません。

 現実的に世界陸上は、東京(1991年)、大阪(2007年)に開催。ユニバーシアード(夏季)は、東京(1967年)、神戸(1985年)、福岡(1995年)に開催です。
 これでは新国立競技場を陸上競技の聖地にしたいと思うのは陸上関係者のワガママでしょう。
 日本の陸上競技場の分類は、さらに第一種から第四種まであり、それ以外にも多くの学校や公園にスポーツが可能な施設が多くあります。「くまドン」は、その気になれば、その辺の公園や川沿いのコースでランニングや散歩が手軽にできる環境がある日本は十分にめぐまれていると思います。わざわざ新国立競技場まで行く必要はないのですから。
 新国立競技場を「陸上競技の聖地」にというスポーツ団体の言葉と裏腹に、あまりに多すぎる陸上大会可能な多目的競技場の数に、ただ、建物を作り続ける政治・官僚の「ハコモノ行政」の行き過ぎや、施設の維持・管理費(将来の負担)を考えないスポーツ団体の考えに甘さにあきれかえるばかりです。
 文部省関連のニュースで、今後は収入の見込める球技施設を各地に建設するという話を見ましたが、国体などで建設した競技場は、陸上・サッカー・ラクビーなどの併用施設で各地に多数あるし、球技試合の開催需要にも限界があるので、維持・運営費を含めて、無駄な税金の使用をやめてくれないかなと思っています。
 (何か理由をつけて、ハコモノを作ろうとしているのではと疑ってしまいます・・・・)

 次に(1)の「建設規模 五輪会期中の最大約8万人の収容人数をオリンピック後は5~6万人とすること」です。
 新国立競技場の収容人員も、見直しで問題の焦点になっていますが、上記の提言の通り、常設5~6万人、仮設2~3万人の合計最大8万人までとするべきかと思います。念のため、オリンピックでは観客席の制限はなく、「オリンピックをなるべく多くの人に見てもらえること」が条件だったはずです。(うろ覚えの記憶ですが)
 新国立競技場を球技専用としたとしても、首都圏近郊に多くの競技場・スタジアムがある上に8万人を見込める試合はごくわずかとのことですから、過大な負担は避けるべきでしょう。

 この問題の根底には、日本サッカー協会がFIFAワールドカップを日本に招致したいとの欲求があります。
 「くまドン」としては、FIFAワールドカップを招致するためだけに新国立競技場を過大な収容人員の設計で、建設費や維持費を増大させたくないので、「くまドン」はFIFAワールドカップの招致には消極的なのですが、一応、考えてみました。

 日本サッカー協会の大仁会長は遠藤オリンピック担当大臣に招致条件として、以下の要望を出しています。
(A)FIFAワールドカップに必要な8万人の収容や観客席を覆う屋根
(B)観戦に臨場感を出すためにトラック部分にせり出す可動席の設置

 これに対して、FIFAワールドカップ開催国の立候補条件は、以下のようです。
(a)まず、収容4万人以上の会場が12カ所必要 (この条件は日本は問題なし)
(b))開幕戦と決勝戦は8万人以上・準決勝は6万人以上が観戦可能な規模の競技場が必要。
(c)屋根が客席を覆う範囲(客席の2/3以上)
(d)控室の設備、さらには、観客が利用する場内のトイレ、バリアフリーなどに至るまで細かい条件あり。
  (細かいルールは分かりませんが、試合やパラリンピックに使用するわけなので問題なさそうです。)
 その他にも出場チームの滞在地条件やスタジアムまでの輸送機関の制約などもありますが、新国立競技場本体には直接は関係なさそうです。
 問題は(b)の「8万人観戦可能な規模の競技場」と(c)の「客席を2/3以上覆う屋根」となります。
 細かい規則は不明なのですが、FIFAの開催国立候補条件は「8万人以上観戦可能な規模」とあるだけ、仮設はダメとか、可動席が必要の文字は無いのです。そうして考えてみると、日本サッカー協会の要求は、FIFAに開催国アピールをしたいだけのワガママな要求なのでは?という疑問が湧いてきます。
 (新国立競技場の計画が白紙撤回になる前は、可動式屋根も必要だと要求して、フィールド部分の屋根は不要と決まった現在は何も言っていませんから、日本サッカー協会の要求は不審な点があります。)
 客席の固定式屋根は、8万人の2/3に当たる5万3334人分ですから、結果として、常設の観客席が5~6万人、仮設を合わせて、最大8万人収容、屋根は5万4千人分程度の設計で問題はないのではないかと思います。なお、仮設撤去後のエリアは、維持費も考慮して、特に天然芝にする必要はないと思います。

 当面の日本サッカー協会の目標は、「2023 FIFA女子ワールドカップ」でしょう。2018年頃には開催地が決まるのでしょうか?男子サッカーの条件と同じなら、日本の女子サッカーは国内で人気もありますし、結構強いですから、日本サッカー協会も新国立競技場にワガママを言わないで招致や選手育成に尽力ください。もし、サブフィールドが必要なら、秩父宮ラクビー場を2023年まで残せば、建設費0で使用できるでしょう。
 男子のFIFAワールドカップは、今年2015年の「FIFA汚職事件」でブラッター会長辞意を表明するなど、次のFIFA会長の座を巡って大混乱状態になっていますが、今後は、ヨーロッパの強豪国の内で、長い間、ワールドカップ開催していないイギリス、スペインや初開催の可能性があるオランダ&ベルギーが開催国を狙いに行く可能性が高いので、ワザと開催国の条件を引き上げることも考えられますから、当分無理かもしれません。
 でも、10年~20年後にはオリンピック同様、開催国の負担がかかり過ぎることが原因になり、お金のかからないワールドカップが要求される時代が来るかもしれません。その頃には、神宮球場と秩父宮ラクビー場の交換・建て替えも完了しているので、サブフィールド(観客1万人ぐらい)も大丈夫ですね。
 その時まで、過大な競技場は造らずに健全な日本でいることが一番重要と思います。日本サッカー協会も無理な招致目的で、日本の国民に迷惑をかけないようお願いします。

 そして、(3)の「工費 当初の建設整備予算である1300億円でも十分であること」です。
 この発言の意味は、建設整備予算は1300億円ではなく、それ以下でも可能という意味にもとれます。

 7/30の新聞の情報によりますと、国民から国立競技場の建設費のアンケートを取った結果、
 「500億~1000億円」が最多で約60%近くいたそうです。建設費高騰の影響を考慮したのか、「1000億~1500億円」が約25%程、逆に「500億円以下」も10%程、合計で95%近い人が建設費を安くして欲しいとの回答になっています。
 他の質問何用も含めてみると、国民全体としては、見た目のデザインを期待する人は少なく、オリンピック後の有効活用を含めて、建設費や維持費を含めた税金のムダ使いに厳しい目を向けています。
 「くまドン」も、建設整備予算はシンプルなデザインで1000億円以下で建てるべきだと思います。
 正直、完成間近で、追加費用が発生する可能性を考慮すると、1300億円では危険です。

 国民から過大な建設費で大反対を受けたのに、相変わらず、森喜朗(もり よしろう)元首相の影響が大きい文部省やJSC、各スポーツ団体の予算に対する考えの甘さが目立ちますので、官邸主導で他機関の見張りがついたとはいえ、以前の計画が、どんどん建設費が上がっていった事や、過大な建設費用の高騰などを考えると甘い考えは切り捨てさせる厳しさが必要です。
 さらに、前にも書きましたが、建設費の高騰は、過大な建設活動が原因なのですから、秩父宮ラグビー場の解体などオリンピック後に回せる作業は、オリンピック後にして欲しいです。その他にもオリンピック開催と関係の薄い公共事業が、オリンピック開催の2020年完成を目指している事自体、税金の過大な使用であり、財政赤字の原因ですしね。必要な公共事業でもオリンピック前は減らして、オリンピック後に回してください。(無駄な公共事業は廃止でお願いします。)
 根本的に、バブル経済の過剰建設需要が発生している現在において、公共事業を増やす一方で減らそうとしない事自体問題です。大企業ばかりが得をして、国民に消費税などの税金のしわ寄せが来るのはお断りです。そして、バブル崩壊後の放漫経営(ほうまんけいえい)が原因の経済混乱で一番迷惑するのは、国民なのですから(努!)

 (4)の「適切なプロジェクト遂行 設計施工者の選定は過程と結果の透明性確保が重要であること」
 これも以前、「本来なら、東京五輪組織委員会やJSCがしっかりしていなければならないのですが、現在の放漫経営が続くのだとしたら、引き続き、国民が世論という監視の目を光らせなければいけないのでしょうね」と書きましたが、前回の計画時の新国立競技場のコンペは国民の関心が、ほとんど薄い時期に行われましたが、これだけ問題化すると、かなりの関心が集まり、設計・建築に詳しい人からのチェックが入りますので、同じ過ちを繰り返さない為にも、透明性確保はして欲しいです。

 最後に(5)の槙氏自身が「新案のデザインを担当に参加しない」と述べた件についてですが、
 槙氏が自由に発言できる立場にいる為には、デザイン担当の当事者にならない方が正しいでしょう。
 自由に発言できる槙氏のような人がいるからこそ、審査する側も、いい加減なことはできず、引締りますからね。
 それに、どのようなデザインを選んでも、100%の人が良いというデザインは無く、賛否両論の多かれ、少なかれ発生してしまいますからね。後ろに下がった場所で見ていた方が冷静に判断できるでしょうね。

 それから、スポーツ団体やJSC、文部省などが、有名なスポーツ選手や発言力のある監督・OBを利用して、スポーツ側に有利な発言をさせているような場合は、発言しているスポーツ選手や監督・OBよりも、後方でやらせている団体や組織を攻撃するようにしましょう。
 このような問題に対しては、スポーツ選手や監督・コーチは各スポーツ団体から代表に選ばれる関係上、弱い立場にありますので、発言するのが嫌でも断りきれないでしょう。
 逆に、スポーツに無関係の人ほど気にせず攻撃する事ができます。中には、オリンピックやワールドカップを利用して、スポーツ団体が多額の財政支援を何度も要求して、政治家が国民の税金をばらまいているのを見て不快に感じる方も多いかと思います。
 「くまドン」も、スポーツの大会が税金のバラマキや公共事業の為に利用されているのを見ると、ワールドカップが招致できない方が良いのでは?と思う時もあります・・・・・・。
 もっとも、スポーツ選手も「金を出す人は良い人、金を出さない人は悪い人」の発言が目立ちますが、真面目にやっている選手や監督・コーチを競技に専念させて、後ろにいる団体の上層部や政治の方を攻めた方が、日本のために良いのではと思います。

以前作成したブログは、
 「名所江戸百景240  新国立競技場の問題について(3)」

 「ラクビーワールドカップの問題」が、思うように考えがまとまりませんので、
 代わりに、2020年東京オリンピックの会場で東京都担当の各競技会場も、東京都が一生懸命に予算を減らしたのですが、建設費高騰が原因で、まだまだ、建設費が大きな負担になっています。東京都も、この問題を重く見て、結構色々考えているようです。
 できれば次回に、「くまドン」もボートやカヌーの競技場の問題について考えてみたいと思います。

 東京都は湾岸エリアに新規で建設する施設を、トップアスリートの競技利用だけでなく、一般の人が気軽にスポーツやレジャー・レクリエーションに使用できる「後利用の方向性」の意見を募集しているそうです。8月中までに集めて検討する予定とのことです。(基本的には後利用の運営が黒字になる為の意見を希望している見たいです。)
 対象となる施設は以下の通りです。
 (1)海の森水上競技場(ボート、カヌー・スプリント)
 (2)葛西臨海公園の近く(カヌー・スラローム)
 (3)夢の島公園(アーチェリー)
 (4)辰巳 オリンピックアクアティクスセンター(水泳)
 (5)有明アリーナ(バレーボール)
 (6)大井ホッケー競技場(ホッケー)
ともかく、最近にいたずらなバブルのような建設需要の増大により、建設費用がいたずらにムダに増大しています。



 今回は、これで終わりとさせていただきます。
 文章を書くのは苦手なので、この手のブログはストレスがたまります。

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