爺さんが伝えたいこと

寡黙に生きて来た爺さんが、一つの言葉ででも若い人達の役に立つならば、幸いです。

人形の爲の聖地

2021-06-29 22:10:06 | 日記
人形の髪の毛がいつの間にか伸びる…。

この手の話は日本の怪談では、定番中の定番だが、実際にそんな人形があると聞けば、誰でも驚くに違いない。

だが、和歌山市加太の淡嶋神社はまさに「髪の毛が伸びる人形」があることで有名だ。

神社の歴史は古く、神功皇后が三韓出兵からの帰りに瀬戸内海で激しい嵐に遭遇し、神のお告げによってたどり着いた島の対岸に創建されたのが始まりとされている。

子授けや婦人病などにご利益があると信仰を集めたが、いつからか人形供養を行う神社として、知られる様になった。

いわば人形の聖地である。

境内は全国から持ち込まれた2万体以上の人形で埋め尽くされており、どこか異様な雰囲気を漂わせている。

そして、その中に髪の毛が伸びる人形があると言うのだ。

髪の毛が伸びる人形と言えば、持ち主である少女の死後に髪が少しずつ伸びたという、北海道岩見沢市のお菊人形が有名である。

しかし、淡嶋神社のそれは意外にも洋風で、南国風のいでたちをしている。

神社によれば「人形は注目を集める為に奇怪な現象を起こしやすいが、悪さをする事はない」とある。

だが、髪の毛が伸びると聞けば、何かいわく付きの人形ではないかと、ついまがまがしさを感じてしまうのは、仕方のない事だろう。

ちなみに、実物は宝物殿の地下の倉庫に保管されており、事前に予約すれば見学する事も可能だという。



縁結びの聖地の恐怖伝説

2021-06-29 13:35:46 | 日記
京都市左京区に位置する貴船神社は、古くから水の神様として信仰を集めている。

縁結びのご利益があり、パワースポットとしても知られているが、この神社を語る上で外せないものと言えば、丑の刻参りだろう。

丑の刻参りとは、丑の刻(午前1時~3時ころ)に憎い相手に見立てたわら人形を、ご神木に五寸釘で打ち付けるという呪いの儀式だ。

この身の毛もよだつ様な儀式は、宇治の橋姫の伝説にルーツがあると言う。

その昔に京の都には橋姫という公家の娘がいて、ある男性を愛したが、男は他の女性に心移りする。

嫉妬に狂った橋姫はかねて呪詛信仰があった貴船神社へと向かった。

7日間神社に籠っていると、ある夜貴船の神から「鬼になりたければ、姿を改めて宇治の川瀬に37日間留まるべし」と啓示を受けた。

橋姫はお告げどおりに、5つに分けた長い髪を松脂で塗り固めて角を作り、顔と体を赤く染め、頭に鉄輪をはめ、松明を咥えるという狂気的な姿で、夜中の大和大路を走り、ついには男の親類や相手の女の縁者も呪い殺したという。

この話はやがて、男の裏切りに嫉妬した女が貴船神社に丑の刻参りして生霊となる、能の「鉄輪(かなわ)」という演目に発展した。

どちらの話にも、わら人形や五寸釘は出て来ないが、いずれも陰陽師が呪詛に使用した事が結びついたと言われている。

丑の刻参りを目撃した者は、呪いを掛けている人物に殺されるという話もある。

今も神社のご神木には儀式の痕跡があるが、興味本位で見に行こうなどと思わない事だ。



華麗なる神話と伝承の宝庫

2021-06-29 05:37:07 | 日記
インドの神話は大きく分けると、ヴェーダ神話とヒンドゥー神話の二つに分けられる。

ヴェーダ神話とは、文字通り『ヴェーダ』に現れる神話の事をいう。

ヒンドゥー教の前身であるバラモン教の根本聖典である『ヴェーダ』は、インド最古の宗教文献とされる。

バラモン教は、紀元前1500年ごろにインドに移住したアーリア人たちが、多くの自然神に捧げた賛歌から始まったものである。

『ヴェーダ』はこの後、約1000年掛けて完成し、インドにおける宗教や文学の根底となった。

最古のヴェーダは紀元前1200年ごろに大筋がまとまった『リグ・ヴェーダ』である。

『ヴェーダ』に見られる神々には、太陽や風、火、雨など、自然に由来するものが多い。

この世界では、神々はデーヴァ神族とアスラ神族とに分けられていた。

主に現世利益を司ったデーヴァ神族には主神の雷神インドラや火の神アグニなどがいる。

一方のアスラ神族は、当初は厳格な論理や司法を司る神々だったが、神通力や幻術をよく使った為か、後には信仰が薄れ、悪魔族として扱われる様になった。

やがて、『ヴェーダ』に付属する『ブラーフマナ』と呼ばれる注釈と祭儀の解説文書が作成される様になった。

紀元前800年ごろに成立したこれらは、神話や伝説も含んでいたのである。

さらに紀元前500年以降、後にインド哲学の源流となる、宗教哲学書である聖典『ウパニシャッド』が編まれた。

そして、これらにも宇宙創世など、神話は多く含まれている。

紀元前400年ごろになると、バラモン教の威信が低下し、前300~前200年には仏教が隆盛を極めた。

だが、この頃バラモン教が非アーリア的な土着の信仰や習俗を取り入れ、変貌を遂げた。

ヒンドゥー教の成立である。

ヒンドゥー神話の代表的な文献と言えば、やはり後世の文学・思想に大きな影響を与えた2大叙事詩『ラーマーナヤ』と『マハーバーラタ』だろう。

これらが現在の形になったのは、前者が2世紀末、後者が5世紀ごろと言われるが、その原形はいずれも紀元前数世紀には、形を整えていたと思われる。

『ラーマーヤナ』が実在したとされるラーマ王子の冒険譚であるのに対し、『マハーバーラタ』は部族間の戦争物語である。

どちらも、本筋以外に多くの神話や説話・伝承を含んでいるのが特徴だ。

ちなみに、ヒンドゥー神話の主要神はブラフマー、ヴィシュヌ、シバァで、この3者は「三神一体」または「トリムルティ」と呼ばれ、3人が本来は1体の神として、考えられている。

それぞれ宇宙の創造、維持、破壊を司る。

なお、ヒンドゥー教の神はバラモン教や仏教の神まですべて取り込み、その数は数千にも達すると言われる。