日本中の神々が集まる所、出雲のシンボルといえば、やはり出雲大社だろう。
日本有数の大きな神社で、毎年多くの参拝者が集まる場所でもある。
神社というと、穏やかで静かというイメージがあるが、この出雲大社には、そのイメージをくつがえす様な話があるのだ。
出雲大社のルーツは、高天原が日本列島の支配権を大国主命(おおくにぬしのみこと)から譲り受けるという「国譲り神話」にある。
『古事記』によれば、古代の日本を作って統治していたのは、大国主命である。
そこへ天照大神(あまてらすおおみかみ)を中心とする高天原勢が、さまざまな使者を送り込み、国譲りを要求して来たのだ。
すると大国主命は「支配権を譲る代わりに、自分の住まいを立派な神殿にして欲しい」と交換条件を出してきた。
そうして建てられた神殿こそが、出雲大社なのである。
もちろんこの話は神話だが、じつはその陰にはある史実が隠されている。
大和朝廷による出雲征服だ。
その昔、日本統一を目論んだ朝廷は、地方の豪族や土着勢力と戦いを繰り返しながら、支配を広げていった。
とりわけ、銅や鉄の産地であり、国家としても立派に機能していた出雲は、朝廷にとって格別な場所だった。
そこで、どうしても出雲を支配下に置きたい朝廷側は戦争を仕掛け、やがて征服を進めていく。
国譲り神話は、この歴史を暗示したものではないかと、言われている。
しかし、神話の成立時期や神社の創建時期も含め、真相は知る由もない。
これらの謎が解ける日は、まだまだ先の事になりそうだ。