爺さんが伝えたいこと

寡黙に生きて来た爺さんが、一つの言葉ででも若い人達の役に立つならば、幸いです。

常世国

2021-06-25 21:17:03 | 日記
古代日本で信仰された、海の彼方にある異世界。

永久不変の神仙境。

それが常世国(とこよのくに)だ。

この楽園にいれば永久不変、不老不死を約束されるのだ。

『古事記』や『日本書紀』『万葉集』『丹波国風土記』などの記述にこの名前が見られる。

スクナビコナ神が国造りの途中で去ったのもこの常世国である。

この時スクナビコナは粟の茎に登り、この茎に弾かれて海の彼方へ消えたという。

また『万葉集』には、浦島太郎の原形となった浦嶋子という人物の体験を詠んだ歌がある。

その体験とは、次のようなものだ。

漁に出た浦嶋子は常世国に流れ着き、海底宮殿でワタツミ神の娘とともに、楽しい日々を過ごした。

だが、常世国にいれば不老不死でいられたのに、ある時浦嶋子は望郷の念に駆られる。

止めるワタツミの娘を振り切って浦嶋子が帰郷してみると、そこには自分の家はすでになかった。

衝撃を受けた彼は、ついに開けてはならぬ玉手箱を開けてしまうのだ。

外界とは時間の流れの異なる世界である常世国だ。

当時の人々に永遠のあこがれをもたらした常世国には、ただ単に海の彼方にある異世界、というだけでなく、スクナビコナが穀物の神でもあったため、穀霊の故郷と呼ばれたという。





祓詞にある飛び抜けた聖地

2021-06-25 18:01:41 | 日記
神社でお祓いの時に、神主が奏上する祓詞(祝詞)の冒頭に「かけまくもかしこく伊邪那岐大神(いざなぎおおかみ)、筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原(あわぎがはら)に禊祓えたまいし時に」というフレーズがある。

この阿波岐原は実際に存在する地名で、そこは日本の原点ともいえる聖地がある。

宮崎県の阿波岐原にある江田神社は、伊邪那岐(いざなぎ)と伊邪那美(いざなみ)という日本国の生みの親を祀った神社だ。

『日本書紀』によると、伊邪那岐と伊邪那美は、天の橋に立ち、矛で混沌をかき混ぜて島をつくった。

それが日本の始まりだというのが国生みの神話である。

江田神社の存在は、数年前まであまり知られてはおらず、訪れる人も少なかった。

状況が一変したしたのは、パワースポットに関する本で紹介されてからだ。

とくに、ご神木のクスノキは「けた違いのパワーがある」と紹介され、参拝客が後を絶たない。

あまりにも沢山の参拝客が撫でて行くため、木肌は茶色く変色してしまったほどだ。

さらに、本殿の裏手にあるみそぎ池も強力なパワースポットだ。

伊邪那岐は伊邪那美を追いかけ黄泉の国へ行き、逃げ帰ってきた時にみそぎ池で体を洗った。

その時、左目を洗うと天照大神(あまてらすおおみかみ)が、右目を洗うと月読命(つきよみのみこと)が、そして鼻を洗うと素戔嗚尊(すさのおのみこと)が生まれたという。

江田神社は日本最古の神々の生誕の地であり、日本や皇統の発祥地でもある。

慎ましく小さな佇まいの社殿ではあるが、その聖性が飛び抜けていることは疑う余地がないのだ。