黄泉国(よみのくに)
根堅州国(ねのかたすくに)
どちらも日本神話に於ける死後の世界である。
この2つは共に黄泉比良坂で、現世と繋がっている。
ただし、根堅州国はすべて生まれ帰っていく根源の国であり、祖先の霊が宿る処、この世と隔たっているが、行き来が可能な世界だという。
スサノオ命が統治しており、オオクニヌシ命が訪れたりもしている。
人々の暮らしも地上と変わらない。
対して黄泉国は、文字通りの死者の国だ。
イザナギ命の妻のイザナミ命が黄泉大神となって君臨する黄泉国は暗く、邪霊が棲む処とされる。
この世と完全に隔たっており、死後の魂がここの竈(かまど)で煮炊きされた食物を一口でも食べると、もう現世には戻れないという。
そして、イザナギ命が黄泉国から逃げ帰る時に千引岩を据えた為、現世との間に明確な境界が出来たともいう。
ただ、黄泉国と根堅州国の概念はそれぞれに矛盾なども有って、混乱しやすい事もまた事実なのだ。
現在の所『古事記』は、この異質の2つの世界を、強引に1つの世界に繋ごうとしたとする考え方が主流の様だ。