人形の髪の毛がいつの間にか伸びる…。
この手の話は日本の怪談では、定番中の定番だが、実際にそんな人形があると聞けば、誰でも驚くに違いない。
だが、和歌山市加太の淡嶋神社はまさに「髪の毛が伸びる人形」があることで有名だ。
神社の歴史は古く、神功皇后が三韓出兵からの帰りに瀬戸内海で激しい嵐に遭遇し、神のお告げによってたどり着いた島の対岸に創建されたのが始まりとされている。
子授けや婦人病などにご利益があると信仰を集めたが、いつからか人形供養を行う神社として、知られる様になった。
いわば人形の聖地である。
境内は全国から持ち込まれた2万体以上の人形で埋め尽くされており、どこか異様な雰囲気を漂わせている。
そして、その中に髪の毛が伸びる人形があると言うのだ。
髪の毛が伸びる人形と言えば、持ち主である少女の死後に髪が少しずつ伸びたという、北海道岩見沢市のお菊人形が有名である。
しかし、淡嶋神社のそれは意外にも洋風で、南国風のいでたちをしている。
神社によれば「人形は注目を集める為に奇怪な現象を起こしやすいが、悪さをする事はない」とある。
だが、髪の毛が伸びると聞けば、何かいわく付きの人形ではないかと、ついまがまがしさを感じてしまうのは、仕方のない事だろう。
ちなみに、実物は宝物殿の地下の倉庫に保管されており、事前に予約すれば見学する事も可能だという。