爺さんが伝えたいこと

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華麗なる神話と伝承の宝庫

2021-06-29 05:37:07 | 日記
インドの神話は大きく分けると、ヴェーダ神話とヒンドゥー神話の二つに分けられる。

ヴェーダ神話とは、文字通り『ヴェーダ』に現れる神話の事をいう。

ヒンドゥー教の前身であるバラモン教の根本聖典である『ヴェーダ』は、インド最古の宗教文献とされる。

バラモン教は、紀元前1500年ごろにインドに移住したアーリア人たちが、多くの自然神に捧げた賛歌から始まったものである。

『ヴェーダ』はこの後、約1000年掛けて完成し、インドにおける宗教や文学の根底となった。

最古のヴェーダは紀元前1200年ごろに大筋がまとまった『リグ・ヴェーダ』である。

『ヴェーダ』に見られる神々には、太陽や風、火、雨など、自然に由来するものが多い。

この世界では、神々はデーヴァ神族とアスラ神族とに分けられていた。

主に現世利益を司ったデーヴァ神族には主神の雷神インドラや火の神アグニなどがいる。

一方のアスラ神族は、当初は厳格な論理や司法を司る神々だったが、神通力や幻術をよく使った為か、後には信仰が薄れ、悪魔族として扱われる様になった。

やがて、『ヴェーダ』に付属する『ブラーフマナ』と呼ばれる注釈と祭儀の解説文書が作成される様になった。

紀元前800年ごろに成立したこれらは、神話や伝説も含んでいたのである。

さらに紀元前500年以降、後にインド哲学の源流となる、宗教哲学書である聖典『ウパニシャッド』が編まれた。

そして、これらにも宇宙創世など、神話は多く含まれている。

紀元前400年ごろになると、バラモン教の威信が低下し、前300~前200年には仏教が隆盛を極めた。

だが、この頃バラモン教が非アーリア的な土着の信仰や習俗を取り入れ、変貌を遂げた。

ヒンドゥー教の成立である。

ヒンドゥー神話の代表的な文献と言えば、やはり後世の文学・思想に大きな影響を与えた2大叙事詩『ラーマーナヤ』と『マハーバーラタ』だろう。

これらが現在の形になったのは、前者が2世紀末、後者が5世紀ごろと言われるが、その原形はいずれも紀元前数世紀には、形を整えていたと思われる。

『ラーマーヤナ』が実在したとされるラーマ王子の冒険譚であるのに対し、『マハーバーラタ』は部族間の戦争物語である。

どちらも、本筋以外に多くの神話や説話・伝承を含んでいるのが特徴だ。

ちなみに、ヒンドゥー神話の主要神はブラフマー、ヴィシュヌ、シバァで、この3者は「三神一体」または「トリムルティ」と呼ばれ、3人が本来は1体の神として、考えられている。

それぞれ宇宙の創造、維持、破壊を司る。

なお、ヒンドゥー教の神はバラモン教や仏教の神まですべて取り込み、その数は数千にも達すると言われる。







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