神社とは、神が降臨し寄り付く聖地である。
もともとの神社には、建物などが無く、大きな岩や高い木の立つ場所、そのものを意味した。
こうした場所は古来、神が降臨し、寄り付く聖地とされ、人々は折に触れ、そこで祭りを行った。
神社は、ヤシロ(社)とも、呼ばれる。
ヤとは「屋」で、祭りの際に作られる仮の祭壇、シロは「代」で、神霊が宿るところ、もしくはシル(領有する)という意味であるとも言われ、具体的には御神木、御神体、幣帛(へいはく)、榊(さかき)を指す。
あるいは、巫女を意味する事もある。
つまりヤシロとは、神を招き、饗応する為の祭壇と、その神を降ろす巫女の総称なのである。
今日のように、神社の境内に建造物が設けられる様になったのは、仏教寺院の影響が大きい。
仏教寺院の建築は、舎利を納める仏塔や仏を目に見える形で表した本尊を中心に発展した。
神社建築も同様で、磐座(いわくら)や聖所を注連縄(しめなわ)で囲み、その前に幣帛を立て、神のヤシロとした。
その後、それらの御神体を遥拝(ようはい)する建造物として発展したのが、今日の拝殿にあたる建物である。
この拝殿内には、鏡、太柱、石などの御神体が常設される様になっていく。
以後、各地の神社は、それぞれの祭神、歴史、文化を背景として、時代と共に変容し、さまざまな形態を持つにいたるのである。