家に来た若い衆に、義兄が話し始めました。
『昨日事務所にYが来たんだよ。それも刀を持って』
『Yですか、久し振りですね~』
『アイツ背が低いだろ、佐々木小次郎のように刀を背負って来た。
どうした?と聴いたら、頭に来たから、殴りこみに行くと、云うんだ』
『え~、それからどうしました』
『どうした?と聴いたら、他の組の奴らと揉めて、
話が付かなかったから、これから、話をつけに行くと云うんだよ』
『何があったんでしょうか?』
『聴くと長くなるから、もめ事はよくあることだから、気にするなと云っておいた。
だけど、自分の背より長い刀を背負って来たんだよ!』と笑いが止まりません。
Yさんは、身長155㎝位で、奇麗に刈り込んだ角刈り・髭は濃いけれど、
毎日毎朝剃って青々とし、眉は太く奇麗に手入れされています。
上下のスーツはいつも奇麗にプレスされ、
白のYシャツの上のボタンを外しているのが、いつもの恰好でした。
『タクシーだから良いけど、電車には乗れないな』
あのYさん、
これ以後、話題になりませんでした、
そして、顔を出す事もありませんでした、