『明日の朝、一緒に出掛けてくれ』と義兄に言われ、
朝5時に起き、若衆二人と一緒に4人で出かけたのが、府中刑務所でした。
入っている人が出てくる場所は分かっているのですが、
出てくる場所で待つと、出さないそうです。
ですから、少し離れた場所で、目立たないようにして待ちます。
待っているのは、我々だけではありません。
出てくる人と直接関係がある組織の人や、若い衆、兄弟と呼び合う人達や
入る事になった経緯と関係がある人達など、
30~40人位の人達が集まっていました。
義兄がどう云う関係かは分かりませんが、
義兄の格から言えば、それなりの人だったのでしょう。
目立たないように待っていると『おめでとうございます』、
『お疲れ様でした』『お勤めご苦労様でした』などの言葉が飛び交いました。
出所した人から、
『今日は、朝早くからありがとうございました。
無事に勤めを終える事が出来ました。これからも宜しくお願い致します』と、
挨拶が返されました。
やっと場が和み、拍手が起き、
火のついたタバコが渡され、一服するわけです。
中でタバコが手に入る事もあるようですが、何年かぶりだと、気絶するでしょうか、
『今まで入っていた刑期で、一定の金額が渡されるんだ。組内の上の人間だと相当な額になるよ』と、義兄が小声で言いました。
義兄は直接の関係では無いようで、誰かの代わりかもしれませんでした。
府中刑務所