グー、グー、グー(3)

2020-03-26 09:20:29 | 童話
『土星に近付いてきたので起きなさい。』
とお父さんに起こされた。僕は火星を出発してからずっと寝ていたんだと言われた。
『あれっ、またロケットの中だ。さっきは映画館の中だったのに、おかしいなぁ。』

ロケットの外を見ると、土星の大きなリングが見えた。
『わぁ、きれいだね。お父さんの言ったとおりだね。』
『ああ、きれいだね。前に土星に来た時に見たのと同じだね。』
『また、土星の基地で休憩するの?』
『そうだよ、最後の休憩だね。』

そして、ロケットは土星に着いた。
『やっと土星に着いたね。地球に向って電波を出している星はもう少し遠いらしいよ。』
『どんな生き物か楽しみだね。』
『今晩は、この土星の基地の休憩室で寝るよ。』

『うん、分かった。だけれど、今度起きたら僕はどこにいるのかなぁ?』

グー、グー、グー(2)

2020-03-25 06:53:15 | 童話
『起きなさい、映画が始まるよ。』
僕はお父さんに起こされた。
『あれっ。ここはロケットの中ではなく、映画館の中だ。おかしいなぁ。』

そして、映画が始まった。
外国の小さな町の、中心部から遠く離れた草原の中に家が有り、その家には老人夫婦が住んでいる
この老人夫婦の家のテレビに、毎日同じ時間にビビッ、ビビッと雑音が入ってくるのだ。少し離れた家のテレビには雑音は入らないので、この老人夫婦に対する宇宙からメッセージではないかと、天文学者と生物学者と通信技術者が調査を行なった。
そうして、大きな電波望遠鏡を作り、時間をかけて調査した。その結果、宇宙からのメッセージだと確認ができたので、電波の来る方角にある星の調査を行うことにしたのだ。

そして、多くの技術者が乗り組んだロケットが打ち上げられ、宇宙探検が始まった。永い宇宙旅行なので、火星と土星を経由して飛んで行く計画である。
永い時間の映画なので、火星に着いた時間で10分間の休憩があった。

グー、グー、グー(1)

2020-03-24 06:46:40 | 童話
今日はお父さんと宇宙探検の映画を見に行く日だ。昨日はワクワクしてなかなか寝られなかった。
今は月へ人間が行っているし、火星では探査の電気自動車が走って、写真を地球に送ってきている。
僕が大きくなった時は、宇宙のどこまで行けるようになっているのかなぁ?

今日の映画は、遠い宇宙のはてから人間にメッセージを送ってきている星を探しに行くらしいんだ。どんな生き物がいるのかなぁ。

『もうすぐ火星に着くから起きなさい。』
僕は昨日あまり寝られなかったので映画を観ながら寝てしまったのかなぁ。
『火星でロケットに燃料を補充している間、火星基地の中で休憩するよ。』
僕はお父さんに起こされた。
『あれっ、ここは映画館の中ではないや。』

『ロケットから基地の休憩室へ行くまでの間は、宇宙服を着るルールになっているんだよ。』
『うん、分かった。だけれど、僕は今、映画を観ていたんだけれどなぁ。』
『また同じ席に座るから荷物はそのままでいいよ。早く、休憩室へ行くよ。』
『う、うん。変だなあ。』
僕は変だなあと思いながら、お父さんや他のクルーと一緒に基地の休憩室へ行った。

休憩室は大きなドーム型で、全体がガラスのように透明になっていて、ロケットに燃料を入れている所がよく見えている。周りは暗いが空にはたくさんの星が輝いている。
『うわっ、きれいだなぁ。』
『そうだね、お前は初めての宇宙旅行だったね。』
『うん、そうだよ。宇宙はすごいんだね。』
『サンドイッチを食べたら、またロケットに戻ろうか。』

『今度はどこまで飛んで行ったら休憩するの?』
『土星かな?』
『大きなリングのある星だね。』
『そうだよ。リングは近くで見ると、写真よりずっときれいだよ。』
『お父さんは土星に行ったことがあるの?』
『ああ、お前と同じくらいの子供の時に、一度行ったことがあるよ。』
『ふぅ~ん、すごいね。』

そして、ロケットは土星に向って飛行を続けた。

僕の学校(2)

2020-03-23 06:51:16 | 童話
給食の時間は、お母さんが先生です。
今日は僕の大好きなハンバーグとカレースープです。シロもタマもハンバーグを入れるお皿を持って、順番に並んでね。そうか、シロとタマはお皿が持てないんだね。
それでは、並ぶだけでいいよ。

お昼寝の時間は、タマが先生です。ソファの上でスヤスヤ。だけど、シロは寝ていても直ぐに起きて、ボールで遊び始めます。

音楽の時間は、お母さんがピアノの練習で使っているメトロノームが先生です。
カチカチカチカチ、カチカチカチカチ。シロは、その音に合せて、ワンワンワン、ワンワンワンと鳴きますが、タマは、時々耳を動かすだけで、直ぐ寝てしまいます。

公園の砂場で遊ぶ時は、シロが先生です。シロは穴掘りがじょうずで、両方の前足を使ってドンドン掘ります。

公園の広場でカニ歩きをする時間は、僕が先生で、シロとタマは生徒です。
『カニさんはね、こうして足を順番に横に動かして横に歩くんだよ。シロもタマも前に歩くんじゃないよ、横に歩くんだよ。水槽のカニさんを見てごらん、横に歩いているでしょ。』

宿題の時間は、僕もシロもタマも、みんな生徒です。宿題ですから先生はいません。
『シロもタマも、ちゃんと宿題をしないとダメだよ。』

宿題が終ると、明日のお勉強の準備をします。明日の準備も先生はいません。
『今日は楽しかったなぁ。明日は何しようかな。』

そして、朝になると、また僕の学校が始まります。
     
おしまい

僕の学校(1)

2020-03-22 09:24:48 | 童話
お兄ちゃんとお姉ちゃんは小学校へ行っていますが、僕はまだ幼稚園にも行っていませんが、僕も学校へ行っています。
僕の行っている学校の先生は、犬のシロと猫のタマです。

運動会の時間は、シロが先生で、駆けっこをします。
『シロ、そんなに速く走ったら追いつかないよ。』
先生のシロは走るのがとても速いので、先生には勝てません。

そして、木登りの時間は、タマが先生で木登りをします。
『タマ、すぐ登って行くからチョット待っていて。』

国語の時間は、絵本でお勉強をします。今度は僕の方が先生になります。
そして、大きなカブの絵本やサンタさんの絵本を読んであげます。
僕はお兄ちゃんやお姉ちゃんのように文字が読めないので、お母さんに読んでもらったようにシロとタマに読んであげます。だけど、読んであげているのが正しいかどうか分かりません。

算数の時間も僕が先生で、おやつの数をかぞえます。シロに一つ、タマに一つ、そして、僕に一つ。10個入っていたお菓子なので、残りは、う~んと、7個かな?

絵の時間は、みんなが生徒で絵を描きます。絵の先生は絵本です。
『タマ、グチャグチャに塗ったらダメだよ。』
『ポチは絵をなめたらダメだよ。』
『ほら、ポチの好きなお肉と、タマの好きなお魚の絵が描けたよ。おいしそうでしょ。』

マンガの時間も、みんなが生徒でテレビが先生です。マンガが始まると、シロは時々目を開けてテレビを見ますが、タマは僕の隣りで寝ています。