夢の交換(6)

2020-03-02 06:38:45 | 童話
次の日、僕は運動会でリレーをしている夢を見たので、朝起きてから「夢っ!」と言ってゴム風船を膨らませませ、そのゴム風船を学校の近くの家の大きな犬の所へ持って行ってパチンと風船を割ってみました。
すると、大きな犬はまた寝てしまいました。そして、、寝ながら走っているように前足と後足を動かし始めました。そして、口にくわえた何かを僕に渡そうとしました。
『あっ、リレーでくわえたバトンを僕に渡そうとしているのだ。』
大きな犬は今度も僕の持ってきた夢を見ているのだと思いました。

学校で、この大きな犬が、僕の持ってきた夢を見ていたことを友達に話しました。
『へぇ~、すごいね。』
『犬にも夢をあげられるんだ。』
『僕の家で飼っている猫に夢をあげてみようかな。』
そして、クラスのみんなで、自分の家で飼っている犬や猫やハムスターや金魚や亀に夢をあげてみることにしました。

犬を飼っている友達は、犬に海水浴へ行った夢をあげました。そうすると、寝ながら泳いでいました。

猫を飼っている友達は、猫にお父さんと魚釣りに行った夢をあげました。そうすると猫は両方の前足を前に出して釣竿を持っていました。

ハムスターを飼っている友達は、ハムスターに野球をしている夢をあげました。そうすると、寝ながらバットを振ってから走る格好をしていました。

金魚を飼っている友達は、金魚に縄跳びをしている夢をあげました。そうすると、寝ながらピョンピョンと跳んでいました。

亀を飼っている友達は、亀に運動会で組体操をしている夢をあげました。そうすると、寝ながら後ろ足でふんばり、両方の前足をピーンと伸ばしていました。

今度、僕は動物園で、象やキリンやカピバラにも、いろいろな夢をあげてみようと思っています。
   おしまい