食道がんと闘う自然爺の活動

自然の中での暮らしに憧れ、自作の山小屋を起点に自然と戯れていたが、平成21年10月、食道・胃がんが見つかり手術。

『夢追人、猪、射手を選ばずⅠ』

2013年07月22日 17時48分10秒 | 趣味

猪猟が難しいのは見切リをする人の質が様々で寝屋山を特定するのに質の悪い情

報もそのまま使い判断する為に空の山で猟をするからだ。曲がりなりにも見切りがで

き猪がおれば捕れなくても、撃って外れても面白い。空山だけは疲れを大きくするだ

けだ。猪の足跡は昨夜のものだけを探して見切る。猪の行動範囲は広いので昨夜の

ものだけでも二山,三山はざらに歩く。この新旧の判断が難しい。

湿った場所では古いものでも新しく見え、乾燥した所ではその逆になるし、岩がゴロゴ

ロしている所では足跡が消えおりちょっとした変化に気付かなければ見落してしまう。

この山を通過したかどうかを調べる時、長い道程のたった一ヶ所の変化を探すのだか

ら、もし異常なしとすれば猪は通過しておらずその線より内側に居ることになる。居ると

仮定して猟を始める。猪が踏んだ草の折れ目を見て乾燥の具合、枯れ具合をみて昨

夜かどうかの判断をする。田の中にズッポリとした跡がある。中に蜘蛛が巣を張ってい

る。蜘蛛は夕方に巣を張るのでこの跡はいくら新しくても昨日以前のものになる。

一月の半ば雪のある日、10貫ほどの猪の跡を拾い見切りもしっかりとでき間違いなくこ

の山に猪がいる状態になった。この頃には気心の知れた人だけが残り一つのグルー

プになっていた。だから捕れなくても結構楽しく過ごせるようになっていた。外してもそ

れを咎める人はなく、酒の肴になってしまい大笑いした。

リーダーが口癖のように注意していたことに『逃げてもいいから、猪だと確認してから撃

つこと』『外れたら、次がある』。その言葉はだれもが一度は言うが口癖のようには言わな

い、それは皆に浸透し気楽に楽しむというグループのモットウになった。事実、外しても

誰一人として文句は言わなかった。

リーダーは私たちより若いが子供の頃から猪猟について歩いた大ベテランでその経験

と知識は確かなものだ。

午前10時過ぎに犬を入れる段取りがつき待ち場に向かう。

『犬をいれるぞ、用意はいいか』

『了解、いつでも』

勢子役が寝屋を目指して進む。近いと判断したところで

『犬を放す』とトランシーバーから声がする。

『了解、こっちに来らしてよ』冗談が飛ぶ。

しばらくして犬が起こす『起こした、Tさんの方に向かった』とリーダーの声が無線機から

聞こえる。待ち場の人は緊張しながら今か今かと待つ。しかしこの時は一端、Tさんの方

に向かったが方向を変え山裾の雪の少ない所を通り奥に向かっていた。奥には待つ人

が居ないので一回戦は終わりとなる。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿