食道がんと闘う自然爺の活動

自然の中での暮らしに憧れ、自作の山小屋を起点に自然と戯れていたが、平成21年10月、食道・胃がんが見つかり手術。

『夢追人、猪、射手を選ばずⅡ』

2013年07月23日 18時02分27秒 | 趣味

全員が山を降り次の作戦を練る。『未だ朝だから猪はあまり遠くまでは行かない、

2時もすれば近くのどこかで止まる、それまで早い昼飯をとってからやろう』

とリーダーが言った。一度逃げた猪の後を追うのは大変に難しいことで、いつどこ

で止まるか判らない、先を行ったつもりでも所詮、人間の足で追い着くことは無理

だ。何度かこう言う経験をしたがいつも後手に回っていた。

幸いに今回はリーダーのホームグラウンドで猪の動きには精通しているのでその

判断には間違いないことを皆が思っていた。

『まだ、少し早いかな、でも行ってみるか』

『駄目だ、もう少ししないと』

こんな会話をしながら時が経つのを待つ。

家の奥を通過した模様でそこにはヌタ場がある。そこで必ずヌタを打ってから移動

しているはずだ。結局、3時間待ち午後2時過ぎに再開した。ヌタ場は猪の風呂場

のようなもので、水気があり泥の柔らかいところをドロドロ状態にして、身体半分くら

いが入るバスタブ。

身体についたダニや寄生虫などを泥で窒息させたり、泥で洗い落としたりする衛

生面、何かに追われたりして急激に上昇した体温を下げるためにも使う。真冬の

寒い時でもヌタ場は使われているので、猪の温泉地なのかもしれない。こうしたド

ロドロのヌタ場と全く逆の、空ヌタというのがある。よく見かけるのは尾根筋なんか

で、身体が入るバスタブ状の穴を掘り、ここでは乾燥した泥を身体に塗り付ける、

傷などの消毒の役目と言われている。

グループかファミリーかは別としてヌタ場は大衆浴場のように共用されているよう

に見える。犬に追われ逃げた猪は体温を下げるため必ずと言っていいほどヌタに

つかる。

だから見切りをするにも、こうして逃がした時のためにもヌタ場がどこにあるのか、

知っていることは猟果に大きな違いをもたらす。

猟を再開しまずヌタ場に行ってみるとほんの先ほどまで猪がつかつていたような

濁りがあり周りの雪は泥水を被り汚れている。

ヌタ場からは泥水を引いた足跡が尾根に向かっており追跡は容易だ。

『尾根から行先を確認し分散しよう』

『この濁りからすると近いところに留まっているかもしれない』

猪は体温を下げ興奮状態をリラックスさせていること、朝から追われて寝ていない

から、そんなに遠くまで移動しないで寝る体制に入っているものと思われるから、

追う方も慎重な行動が要求される。尾根に着くと更に奥に向かっており、先に行く

とそこで幸運をつかむ。猪は尾根から出曽根に向かっており、この分だと出曽根

の何処かに留まっているのはほぼ間違いなく、戦術的には袋小路に入ったものを

獲るのと同じだ。尾根の雪は30センチくらいあり、谷の吹溜りはそれ以上で滑るよ

うにして、下に降り適当な場所で待ちにつく。山を歩く時、降りる時には必ず脱砲

(銃から弹を抜く)しておかないと転んだりして暴発を招く恐れがある。


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