いつも新聞記事のトップや見易い場所には載せられない『核燃料サイクル事業』。
のど元過ぎれば熱さを忘れる、何も後処理も為されていない福島原発の事故でさえ記憶の奥に追いやられようとし
ている。
鶏日本人は『もんじゃ』ならよく知っているだろうが『もんじゅ』となれば覚えがあるのだろうか。使用済み核燃
料を再利用する技術開発のために作られた施設、他国も開発に手を焼いてこの分野から一時撤退の中、日本だけは
力を入れてきた。国として核を利用するための研究施設だが今のところ将来でも活用範囲は限定されているから様
相は電力会社の手助けのような事になっている。
日本という国を信用し切れないのは政官と民間企業の癒着の深さを知るすべはないが、その深さは計り切れないの
ではないかという疑心暗鬼、つまり不透明さが漂っているところに起因する。何もない事を証明するはずのない電
力会社、それを促すことをしない政管の図式を民は疑っている。
本来、新しい技術開発や基礎研究などに国が積極的に関わり後押しする、これが正しく行われれば何も文句を言う
筋合いはないのだが、日本の場合は常に歪みが存在して何処かに疑義がありそうにみえる。その点、アメリカでは
新しい分野に国がテコ入れする仕方が日本とは随分違うようだ。門戸は広く開けられており運用も透明性が確保さ
れているから国の事業でも民との関わりも強く相乗効果を生み出していると聞く。
癌の基礎研究費にしても日本の10倍、100倍の予算をつけ(制約はあるだろうが)自由に研究し多くの成果を上げて
いる。こうした分野の基礎研究はアメリカの追従さえ難しいといわれるくらい。
ところが、日本の原子力政策と実態は砂上の楼閣、不透明さ、利害関係、悪のトライアングルが強く結びつきあい
『新しい技術開発』と民を納得させるものを何一つとして生み出せていない。成果が早く出ないと怒っているので
はない。始めから本来の見通しのなさをひた隠しに『事業のための事業』を推進し続けていただけではないのか。
そして、こうした施設がある限り『安定した官のための仕事場』の確保になる、これが一番大切な目的になってい
るのではないかと思うようになった。
本来は無駄ではなく、『核の効率いい利用』と『安全性の向上』を追及して安全な原発への再生、新しいエネルギー
の開発に結び付けてくれる希望になるはずだ。無用の長物には管理するだけで広島の水害被害の復興費を軽く超え
てしまっている事を民は知ろうともしないから、ここにも問題がある。
冊子:食道・胃の多重がんと闘うホームページ