イギリスの上級紙エコノミストが新疆ウイグル情勢についてのレポートを発表した。先のシュピーゲルに続くものであるが、いわゆる告発調でなく現実を見据えたものとなっている。去年もカシュガルのレポートを出したようだが今回のものはどういった波紋を投げかけるか?
中国の極西 その支配のもとで
The Economist 12月1日
http://www.economist.com/world/asia/displayStory.cfm?story_id=5252768
中国指導者にとってイーニンの町は遅れた西部地域の発展させる、この6年の政策の広告である。舗道沿いには行政センターや数階建てのショッピングモールが建ち並びはじめている。高級車また、石炭を積んだトラックの大群が道路を紡ぐ。日中は驚くべき多様な民族、漢族、ウイグル族、カザフ族、オロス族、タジク族の商人が市場に集まり商品や中央アジアでの旅行での噂話を交わしたり、夜になればビリヤードで社交したり、公園でダンスをしたりしている。
新疆、中国で最大かつ最西の州にあり、かつては停滞する地域であったが(イーニンは)その繁栄とコスモポリタニズムで知られるようになっている。この地域への訪問者はこの町の暗い過去のつぶやきを聞くには遮断された郊外に旅しなくてはならない。1997年に二度、ウイグル人、カザフ人ムスリムは分離主義暴動をこの地で進めたが、中国政府から容赦のない反応を引き起こした。何人かの人が殺され、より多くが傷ついた。「いまだに恐ろしくなるときがある。」あるカザフ人が打ち明けた。
しかし、多くのイーニンの住人にとってそれらの日々の記憶は薄れており、すぐ富裕になれるということや平和な安定の前に重要性はなくなってきている。
中国の目的は沿岸地域での繁栄をコピーすることだけではない。中国のワイルドな西部フロンティア地域たる新疆を飼いならしたいのである。2000年1月より中国は「西部大開発」、(たびたび、「西部へ向かえ」政策として知られる)を進めてきたが、それには経済的停滞地域の成長を促すこと以上のことがあったのは明白なことである。西部大開発は遠く離れた地域に対して中央のコントロールを強め、それらの地域を中国内地(china proper)に吸収することへの近道である。新疆(「新しい境界」を文字通りは意味する)はその西部で最も手におえない地域であった。
言語、文化、そして宗教の溝が中国人口の90%を占める漢族中国人と新疆のウイグル族、カザフ族、タジク族との間にある。この地域のイスラムはスーフィー神秘主義に大きな影響を受けているが中国共産党に信奉されている無神論と居心地悪く共存している。新疆は定期的に地方の独立支持者の蜂起によって騒然となっている、「東トルキスタン」それは彼らの地域の中国名(新疆)を嫌う、独立主義者がよぶその名である。
1945年、ソ連に近いイーニン地域で短期間存在した独立共和国の創造を導いた反乱があった。しかし1949年、ロシア人がウイグル人に毛と協力するよう命令してそれは廃された。1933年の東トルキスタンはたった2,3ヶ月しか続かなかった。当局は1990年から2001年まで162人の死者を出した「テロ事件」が2000件以上あったというが、1949年以来中国の支配は本気で挑戦を受けたことはなかった。最も最近の大きな動揺は1997年のイーニン暴動と共におこった。ウルムチで3件、北京で1件のバス爆発事件が新疆分離主義者の仕業として非難された。
離散、亡命したウイグル人の中で独立の要求はいまだに聞こえてくる。ウイグル人の女性企業家で元政治犯のレビヤ・カディールさんはこの3月に中国によってアメリカに追放されたが、この大義の卓越した応援リーダーとなった。レビヤさんは中国政府から「テロリスト」のレッテルを貼られ、その新疆の家族は警察から嫌がらせを受けている。アムネスティ・インターナショナルは、政府の告発は「何の証拠にも裏打ちされておらず、」新疆のより広範な取り締まりの一環としてカディールさんとその仲間たちの信用を失墜させることを目的としていると思われる、と言う。
しかし、この9月のはじめ、中国が新疆ウイグル自治区と呼ぶ地域の設立50周年祝賀行事は妨害を受けること無しに挙行された。イベントのきびしいセキュリティはいまだ当局が、分離主義者たちは圧倒されているものの安全リスクを引き起こすかもしれないといまだに恐れていることを反映していた。しかし中国はまったく新疆がチェチェン型の衝突に陥ることは心配していない。そしてテロリストの危険の警告の数々にもかかわらず中国当局は、迅速な経済発展が中国の他の地域の過激な政治的主張からの一時的中止を買うことができ、その同じ公式は新疆でも適用できるであろうということを確信しているように見える。
新疆は単なる国家的威信の理由よりも保有するより大きな価値をもつ逸品である。中国がその経済発展に力を与えるための燃料を探すにしたがい、その注視が豊富な石炭、石油、天然ガスの資源をもつ西部の新疆ウイグル自治区に向かうのは避けられない。広大なタクラマカン砂漠の端をドライブすると展望は終りのない油井と穿孔機の地帯である。公式な誇大発表ではいったいいくら新疆に石油とガスがあるのか言うのは困難である。しかし自治区は中国の最大の石油、ガス産出者(CNPC)による探査の焦点である。
新疆でのケラ第二天然ガス田の発見は昨年新疆から中国東海岸に4000キロのパイプラインの設置させることになった。3年前新疆北部ジュンガリア盆地の油田の年間産出量は1000万トンを越えた。2004年にタリム盆地の油田は500万トンを提供した。
次へ
http://blog.goo.ne.jp/kokkok2014/d/20051208
このブログに興味をいただけたらblogランキングへクリックお願いします。