【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「次の4年間で、中東ペルシャ湾で日本の若い自衛官が命を落とすかもしれない」民主党幹事長の枝野幸男さん

2014年12月06日 23時59分59秒 | 第47回衆院選2014年12月アベノミクス解散

[写真]横浜高島屋前で民主党の訴えに耳を傾ける聴衆、2014年12月6日(土)午後7時20分ごろ、筆者・宮崎信行撮影。

 民主党幹事長の枝野幸男さん(埼玉5区)は2014年12月6日(土)午後7時過ぎ、神奈川県最大の歓楽地、横浜駅西口の横浜高島屋前で演説し、低投票率による与党勝利予測を念頭に、

 「こんなつもりがなかった。あんなつもりじゃなかった。でも選挙が終わってからでは遅すぎます。もしかすると、自衛隊の若い人たちが、中東のペルシャ湾で、戦争で命をなくすかもしれない」 と語り、第47期衆議院の4年間で、第3次安倍自民党・公明党内閣のもと、自衛官が地球の裏側であるペルシャ湾(ホルムズ海峡含む)で死亡する可能性があると言及しました。

 安倍晋三首相(自民党総裁、山口4区)は、公示後の、テレビ朝日報道ステーションで、ホルムズ海峡の交戦中の機雷除去に日本の掃海艇が出る可能性にふれました。言葉のイメージと違って、「機雷除去」や「掃海」は「機雷敷設」と同じく、国際法上、「武力の行使」に整理されています。ですから、ペルシャ湾ホルムズ海峡で、機雷除去をする行為は、「地球の裏側で戦争をする」ことにほかなりません。これについて、同じ番組で、公明党代表の山口那津男さん(非改選・参議院)は明確に否定しています。首相も、掃海艇は出さないとしながら、その理由を「木でできているから」と説明しました。

 1997年日米防衛協力のための指針(ガイドライン)改定時の外務政務次官で、1999年周辺事態法制定時の外相だった、高村正彦さん(山口1区)と、公明党の北側一雄さん(大阪16区)がつくった、2014年7月1日の閣議決定文「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法法制の整備について」の中で、「我が国と密接な関係のある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るための他に適当な手段がないときに、必要最小限度の実力を行使することは、従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として憲法上許容できる」としました。

 これは刑法36条の「正当防衛」とほぼ同じ文章であり、日本国憲法第13条の幸福追求の権利を集団的自衛権行使の根拠としています。この13条幸福追求の権利は「包括的基本権」であり、第29条の「財産権」も包括する概念とされています(芦部学説)。このため、中小企業の原油高対策のために、地球の裏側のホルムズ海峡で、日本自衛隊が戦闘行為(機雷除去)ができると解釈される「蟻の一穴」になる、とても危険な閣議決定で、撤回は必須。

 これを受け、実質的に、日本国憲法を凌駕した上位規範といえる、米軍と日本自衛隊との取り交わし文書「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の再改定中間報告では「切れ目のない安全保障法制の整備のための2014年7月1日の日本政府の閣議決定は、日本国憲法に従った自衛隊の活動の拡大を視野に入れている」 としました。

 このため、若く貧しい日本の子供たちが、給料をもらいながら、自衛隊で訓練し、地球の裏側の戦争で命を落とす、蟻の一穴ができました。

 枝野さんは「私たちにはいたらない面もあるが、野党第1党である民主党に力を与えてほしい。そのことで、子供たちにツケではなく、未来の希望を届けることがdけいるような国会活動ができる体制をつくっていただきたい」と演説を締めくくりました。 

 なお、6日付NHKニュースによると、現行ガイドラインの、日本自衛隊の米軍に対する、後方地域支援で、わざわざ、「武器・弾薬を除く」と明記されている補給活動について、武器・弾薬も米軍に提供すると報じられました。 提供場所は、岩国基地や、戦闘行為の周辺の空港、港、洋上などになるでしょうが、いずれにせよ、日本の税金で負担することになりますので、戦費が拡大しそうです。コマツは儲かります。

 枝野さんは、開港の地である横浜を意識し、「明治維新で多くの人が読み書きをできるようになった。ヨーロッパから入ってくるものを翻訳すれば、高度成長した。しかし、今は親がお金を持っていれば、いろいろお金をかけられるけど、親が貧困だと学校にもいけない、正社員になれない、とう貧困の連鎖が起きている。高島屋でお買い物できるようなみなさんは自分とは関係ない、と思うかもしれないが、だれが老後の面倒を見るのか」と語りました。

 演説会に先立ち、横浜高島屋をのぞいてみました。実は、民主党が2度廃案に追い込んだ労働者派遣法改正法案について、地場の人材派遣会社の女性創業者の娘の現社長が、憤慨していて、特定派遣業を届け出制から許可制にすることでそれを前提にした一般派遣や、さらにそれに先立つ、有料職業紹介でも、労働局のしめつけが厳しくなることを懸念し、廃案をのぞんでいたからです。「これでは無期転換をのぞむ子供たち(登録者のこと)を安心して、有名アパレル会社を通じて、百貨店に派遣できない」と不安視していました。つまりあの法案は、規制緩和でなく規制強化の法案であり、業界内でパソナを一人勝ちさせるための法案だったのです。
 
正社員はボーナスが出た人も一部いるでしょうが、あまりおらず、疲れ果てた50歳代男性が高級紳士革製品を見ていて、私は、「あの人はボーナスが出たのかな」と感じました。ボーナスが出た感じでも、夫婦連れは、ネクタイなどの相対的に安い商品を探しているようでした。 今も昔も、女性のあこがれの職業、デパガ(デパート・ガール)。その会社から紹介された人が働くところを、大手アパレル会社のブランド名を頭に入れて、歩いてみました。行くといきなり、きょう唯一見た、30歳前後の、正社員、ボーナスが出たと思しき男性が一人でいて、カジュアル服をみつくろっていました。そのブランドのデパガは、試着をニコニコとすすめていました。1000分の1の確率だけど、なんかいいことが起こりそうな予感がしました、最近は予感することすら、あまりないからね。

 横浜高島屋は、15年前の平成不況のときに、「28万円のベッド」を見たことがあって、きょう行ったら、なんと「41万円強のセミダブルベッド」がありました。小さい値札で「16万円弱のシンブルベッド」がもっとも安い商品でした。驚くべきことに、50歳前後のセレブ風奥さんが運送の受け付けをしてもらっていました。ただ、もっと歩くと、今だから分かるんですが、このベッド売場の先に、ギフト売り場、ブライダル売り場、ギフト券売り場と続くんですね。お歳暮シーズンはやや過ぎているからか、ギフト売り場はさほどにぎわっておらず、ブライダル売り場はほとんど人がいませんでした。帰りに驚いたのですが、ベッド売り場の向かいに、介護用品売り場がありましたが、杖の値段は8500円。良心的だと考えます。もっと高い品でも売れるでしょう。この辺に、横浜高島屋が長年支持され続ける理由があります。長年、神奈川県内の百貨店売上高トップの横浜高島屋ですが、実は前世期末に、店舗面積では県内2位になっていたことがあります。県内トップは、同じ横浜駅の東口の「横浜そごう」でした。

 横浜高島屋ではくじ引きをやっており、若い女性がくじを引いていました。西口の事実上の地主である相模鉄道の地下街との共通企画のようで、大みそかの午後10時までやっているようです。当たるといいね!

 2階の宝飾店ティファニーには20名以上の客、1階の高級ブランドのバッグなどの「ルイ・ビトン」にも20名以上の客がいました。驚くべきことです。ただ、神奈川県内における横浜高島屋への一極集中度は、日本における東京、東京における何らかの街をはるかに上回るので、こういう現象が起きるのでしょう。感覚としては、やはり輸入の街ですから、円安の影響もあり、東京と比べると、横浜の景気は悪いようです。ちなみに、輸出港としては価格ベースでは、前世期末から、名古屋港に大きく水をあけられています。

 このように横浜高島屋を見てみました。私は1998年から2002年の、日経新聞横浜支局記者時代、とくに2001年から2002年ごろに百貨店を担当していました。このとき、神奈川県内百貨店の月別、店別売上高ランキングを載せていたのですが、あるとき、前年同月の売上高の一覧表を載せてしまったことがあります。本文中の「前年同月比」の数字とあっているような、あっていないような気がして変だったのですが、翌日、そのようなミスと判明。訂正、おわびとともに、一覧表をまるごと載せなおすことになり、これは会社員正社員生活8年5か月間で、最大の失敗となりました。編集局長あてに万年筆で始末書と顛末書を提出するのですが、こういうときって、上司らはやさしいということを知りました。このデータに関しては、県内業界の任意団体から提供されたデータです。そういったフェイス・トゥー・フェイスの関係から、懐かしく、「正社員の人、ボーナス出たのかな」と思いながら歩きましたが、ボーナス出た人は、家で寝て、疲れをとっていたのでしょう。

 横浜開港による明治維新によって、飛び上がるほど豊かになった横浜ですが、きょうの横浜はさほど輝いていませんでした。来年の日豪EPAでは、少し輝きを取り戻すでしょうが、それもわずかです。実は、高島屋前には、民主党小選挙区候補者がおらず、このことに、公示直後に私も気づき、比例代表は大丈夫だろうかと、きょうは横浜に行きました。小選挙区はこの魅惑的な街をお行儀よくそつなくまとめる、菅義偉候補がいいでしょうが、比例代表は民主党に投票してください。

  


民主党の支持率は、下野後最高に 潜在的得票率も昨年の参院選の1・8倍に

2014年12月06日 11時05分04秒 | 第47回衆院選2014年12月アベノミクス解散

 民主党の支持率が、2012年12月の下野後では、最高になったことが分かりました。これは、「自民党単独で300超議席」と報道する基になった調査で明らかになった数字です。

 公職選挙法138条の3は「何人も、選挙に関し、公職に就くべき者を予想する人気投票の経過または結果を公表してはならない」としており、「2年以下の禁固または30万円以下の罰金に処する」(242条の2)とあります。

 そのため、公示後の数字には言及しませんが、公示後に、下野後最高の支持率を付けました。

 ただし、自民党の支持率も前回衆院選の投票または公示に前後する期間と同様の高水準にあります。このため、「相対的な1位得票者が絶対に当選する小選挙区制度」で、「300超議席」という数字になったようです。

 一方、公示直前の調査を基に、調査対象者から「棄権する」「決めていない」とした人を除いた、おおむね5割以上6割未満の人で、「民主党に次の選挙で投票する」とした人の割合、潜在的得票率が、第23回参院選の8・0%から14・6%へと、1・8倍増していることが分かりました。公示前の数字です。自民党の潜在的得票率と民主党の潜在的得票率の比較では、 第23回参院選では、相対的得票差が、7・0倍の大差だったのが、1年半経って4・1倍にまで縮めてきていることが分かりました。ただし、自民党の潜在的得票率は55・8%から59・9%と上がっています。ただ、小選挙区は相対的1位者が絶対に当選する制度なので、改善はみられることになります。第23回参院選で小選挙区(定数1)で民主党は全敗しています。

民主党の潜在的得票率も、第46回衆院選公示直前の15・7%から、第47回衆院選公示直前では14・6%に下がっています。自民党の潜在的得票率は41・0%から59・9%へ、ちょっと私としては恐怖心を覚えざるをえない数字になっています。

仮にこのままあてはめると、自民党の議席占有率は、第44回衆院選(郵政解散)に前後する議席、民主党の議席占有率は前回衆院選に前後する数字になります。比例代表の得票数は、前回同様に1000万票にわずかに届いていない可能性になります。

 第23回参院選は、小選挙区(定数1)で民主党は全敗しており、第47回衆院選は、第46回衆院選同様に、全国的な支持率に限らず、小選挙区勝ち抜け(相対的1位得票数の獲得)を何人できるかが、まずもって最優先の課題となりました。

 私もきょうは土日ということで、さっそく全国的に電話でお願いをしています。前回の衆院選小選挙区勝ち抜け候補のお願いをしたところ、「選挙には行かないつもりだったが行く」との返事をもらいましたが、「ずっと応援している。だけれども、前回は落選してしまった」との声ももらいました。前回下野しましたが小選挙区で2連続勝ち抜けをしていたのですが、「下野」を「落選」というイメージで漠然と受け取っている人も多いようです。

 とにかく、小選挙区勝ち抜けを、「元大臣」「元政務官」らをしっかりと全国的に勝たせることが政権交代ある二大政党政治を守るための最優先課題です。この、土日です。がんばりましょう。