[写真]貨幣大試験をする藤井財務相、大串財務政務官。産経新聞大阪本社公式ホームページからお借りしました。
藤井裕久財務大臣は15日、大阪市の造幣局で、「製造貨幣大試験」にのぞみ、「適正だと確認されました」と宣言し、通貨の信頼性を国民に約束しました。毎年恒例の貨幣大試験は、明治5年、第1回が行われて以来、ことしで138回目。大串博志・財務大臣政務官(佐賀2区)も同行しました。
日本ではお札は日本銀行、補助貨幣である硬貨(小銭、コイン、じゃり銭などとも言う)は財務省が発行しています。
藤井大臣は、500円玉(ニッケル黄銅)、100円玉(白銅)、50円玉(同)、10円玉(青銅)、5円玉(黄銅)、1円玉(アルミ)を千枚ごとにはかりで調べ、平成21年(2009年)製造の硬貨が、適正なものだと確認しました。どうやら、安心して硬貨を使って良さそうです。
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今週の新聞の見出しには「3兆円に届かず(2009年度予算の執行停止)」「90兆円台で過去最高(2010年度予算の見積もり要求)」など、派手な数字が飛び交いました。
「君子は本を務む、本立ちて道生ず」(論語)といいます。政治家ら人間は、根本のことをしっかりやると、先の道筋が見えてくるんだ、という意味だと理解しています。
国政で派手な金額が飛び交う中で、戦後生まれのほぼ全員が生まれてから最も切実な家計の中で生活しているというのが2009年10月だと思います。インフルエンザに加えて、体温36度台でお腹に来るタイプの風邪も大流行しているようです。
こういうときだからこそ、このような「セレモニー、儀式」が大事だと考えます。
僕は新聞記者時代からずっと思っていて、民主党がようやく与党になったので、僕も初めて「通貨大試験」を記事に書いてみました。
当たり前の存在でしかない硬貨(小銭)も、昔は中国から輸入していました。日本人に硬貨を製造する能力がなかったからです。日本人が作れるようになってからも、大阪・京都では銀を使い、江戸(東京)では金を使っていた時代があります。通貨の統一は幕府(政府)の悲願でした。
江戸時代、金と銀は変動相場制だったため、時間と情報がある「コメ問屋(商人)」は時機を見計らってコメと金と銀を交換しました。一方の武士は、年貢のコメを商人に売って、金銀に両替していました。やがて商人が儲かり、武士は生活に困窮するようになりました。通貨の統一による国力の引き出しが、明治政府の主要なテーマになり、それが現在の中央集権につながった一つの原因だ、という側面があるでしょう。
福澤諭吉は明治政府に「御用新聞」の発行を提案しました。政府の情報を広く公開することで、政府・国民双方の利益になり、デモクラシーが実現すると考えたのでしょう。「御用新聞」という言葉は、最近では罵り文句ですが、その“御用新聞”ですら、「大試験」は小さな囲み記事で、1面トップは「3兆円に届かず?」です。自民党政権末期には、「大試験」を財務副大臣が代行することもままありました。
私は今後も「大試験」のような、「君子は本を務む」政治をもっと広く知ってもらうように、微力を注ぎたい。
第138次製造貨幣大試験を実施します:財務省
平成21年9月30日
財務省
第138次製造貨幣大試験を実施します
貨幣の量目を試験し、もって通貨に対する信頼を維持するため、第138次製造貨幣大試験を下記のとおり実施します。
記
1.日 時 平成21年10月15日(木)11時15分から
約30分
2.場 所 独立行政法人造幣局(大阪市北区天満1-1-79)
3.執 行 官 財務大臣
4.試験対象貨幣 試験対象貨幣は以下のとおり。
種 類 地方自治法施行60周年記念1,000円銀貨幣(長野県、新潟県、茨城県)(平成21年度製造分)
地方自治法施行60周年記念500円バイカラー・クラッド貨幣(長野県、新潟県)(平成21年度製造分)
500円ニッケル黄銅貨幣(平成21年度製造分)
100円白銅貨幣(平成21年度製造分)
50円白銅貨幣(平成21年度製造分)
10円青銅貨幣(平成21年度製造分)
5円黄銅貨幣(平成21度製造分)
1円アルミニウム貨幣(平成21年度製造分)
連絡・問い合わせ先 財務省 理財局 国庫課 通貨企画調整室 通貨企画係
製造貨幣大試験について
1.製造貨幣大試験の歴史
製造貨幣大試験(以下「大試験」という。)は、通貨に対する信頼を維持するため、明治5年、第1回が行われて以来、本年は第138回目に当たります。
2.試験対象貨幣
大試験の対象貨幣は当年度中に製造された貨幣とします。これには、
① 地方自治法施行60周年記念(長野県、新潟県)1,000円銀貨幣及び500円バイカラー・クラッド貨幣
② 地方自治法施行60周年記念(茨城県)1,000円銀貨幣が含まれます。
3.試験対象貨幣の選取基準
大試験において試験する貨幣は以下の基準により選取します。
貨 幣 の 種 類 選取基準(1日の製造貨幣あたり)
1,000円記念銀貨幣 4,000枚又はその端数につき1枚
500円記念バイカラー・クラッド貨幣 40,000枚又はその端数につき1枚
500円ニッケル黄銅貨幣 40,000枚又はその端数につき1枚
100円白銅貨幣 60,000枚又はその端数につき1枚
50円白銅貨幣 60,000枚又はその端数につき1枚
10円青銅貨幣 60,000枚又はその端数につき1枚
5円黄銅貨幣 50,000枚又はその端数につき1枚
1円アルミニウム貨幣 400,000枚又はその端数につき1枚
(注) 平成21年度製造の試験対象貨幣は、大試験実施の14日前までに製造された貨幣が対象とされているため、総枚数等については大試験当日、大試験会場において掲示することとしています。
4.大試験の方法
大試験は、1,000枚ごとの集合秤量の方法により、貨幣の量目の精度について行うものとします。ただし、1,000枚に満たない場合には別に定める単位で行うものとし、1,000円記念銀貨幣については、1枚ごとの個別秤量の方法によることとします。
5.公差
貨幣の種類ごとの公差(法定量目との許容誤差)は以下のとおりです。
貨幣の種類 公 差 法定量目 合格の上限 合格の下限
1,000円記念銀貨幣 1枚あたり
0.42グラム 1枚あたり
31.1グラム 31.52グラム 30.68グラム
500円記念バイカラー・クラッド貨幣 100枚あたり
4.2グラム 100枚あたり
710グラム 714.2グラム 705.8グラム
500円ニッケル黄銅貨幣 1,000枚あたり
13グラム 1,000枚あたり
7,000グラム 7,013グラム 6,987グラム
100円白銅貨幣 1,000枚あたり
16グラム 1,000枚あたり
4,800グラム 4,816グラム 4,784グラム
50円白銅貨幣 1,000枚あたり
21グラム 1,000枚あたり
4,000グラム 4,021グラム 3,979グラム
10円青銅貨幣 1,000枚あたり
15グラム 1,000枚あたり
4,500グラム 4,515グラム 4,485グラム
5円黄銅貨幣 1,000枚あたり
16グラム 1,000枚あたり
3,750グラム 3,766グラム 3,734グラム
1円アルミニウム貨幣 1,000枚あたり
7グラム 1,000枚あたり
1,000グラム 1,007グラム 993グラム
(注) 試験対象貨幣が1,000枚に満たない場合の公差は、別に定めるところによります。
造幣局で製造貨幣大試験 大阪市北区:産経関西(産経新聞大阪本社公式ニュースサイト)
今年度に製造された硬貨が規定通りの重さか検査する毎年恒例の「製造貨幣大試験」が15日、大阪市北区の造幣局で行われた=写真(甘利慈撮影)。
地方自治法施行60周年記念の千円銀貨など計4億6765万枚が対象。百円硬貨なら千枚(4・8キロ)で16グラム以内の誤差しか認められない。
検査はいずれも合格し、立ち会った藤井裕久財務相は「適正だと確認されました」と宣言。政権交代後、初の試験合格に職員たちもほっとした?