【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

参院民主党は高嶋幹事長 輿石会長、総評で固める

2009年10月07日 13時12分09秒 | 第172特別会(2009年9月)鳩山政権発足

 少し、遠慮がないのではないでしょうか。

 参院会派「民主党・新緑風会・国民新・日本」は6日、ホテル小涌園という大衆的な場所で研修会を開きました。

 この場で、輿石東会長が参院執行部の新体制を発表しました。幹事長に高嶋良充さんを指名しましたが、この人は(旧)総評系産別「自治労」の書記長だった人です。

 参院議員会長は通常国会終わりの6月に選挙をしていますが、昨年は他に立候補者がいなくて輿石さんが再選しています。輿石会長が総評系の日教組、高嶋幹事長が総評系の自治労ということで、総評コンビで固めたことになります。おそらく参院民主党の歴史で、会長と幹事長が総評で占められたのは初めてではないでしょうか。

 そして、(旧)同盟系のUIゼンセン同盟の平田健二さんは参院国対委員長に、コンビを組む参院議運・筆頭理事に同盟の自動車総連(日産労組)の池口修次さんが就きます。議運・国対は同盟コンビが責任を持つことになりますが、これでは「同盟が餅をつき、座りしままで食うは総評」ということになりかねない。

 自治労は前回参院全国比例で50万票をとりましたから、この論功行賞で、参院選シフトなのでしょうが、来年の通常国会は3年に1回来る「延長できない通常国会」です。与党として法案審査をするのですから、来年6月辺りの参院はトコロテン方式にどんどん法案を可決しなければいけない状態になると思います。参院執行部の意思疎通は欠かせません。ここで会長・幹事長を総評で固めてしまうとは、輿石さんも遠慮がなさすぎるのではないでしょうか。

 「総評か、同盟か」というのは、派閥力学の問題ではありません。「ノリ」が違うのです。これは実は根深い問題です。日教組は都道府県職員である公立学校の教員、自治労は地方公務員・社保庁職員が作っていますから、ともに公務員で、身分は安定しています。

 一方、ゼンセン同盟は東レやイオン、武田薬品工業、三陽商会、丸大食品という日本の繊維産業および第三次産業の働く仲間を網羅しています。自動車総連はトヨタ本社正社員に限らず周辺産業第一次産業の工員、第三次産業としては新車ディーラーの営業マンはおろか、カーリースの社員だって組合員です。

 参院議員として代弁すべき出身母体の働く仲間が違えば、政治家としての行動様式が違うのは当然。民主党・新緑風会の118人全員の力を引き出せる人事配置とは思えません。輿石会長に遠慮がみられないのは残念なことです。