どんぐりころころどんぶりこ お池にはまって さあ大変~♪
大正時代に作詞作曲されたかわいい童謡ですが、そのドングリに関するお話です・・・
前回もヤマボウシの記事で書いた「生理落果」という現象ですが、ドングリの世界にも往々にして見られる現象で、受粉して果実は着けても全てが大きく育つわけでは無く、年によってそのほとんどから5割以上も生理落果として落としてしまうのです。
群馬県立農林大学校では学生さんに卒業論文を書いてもらっているのですが、森林コースの学生さんには「コナラ種子の生産量調査」を誰か一人にはテーマにしてもらっていて継続調査を行っています。この調査も今年(2016年)で6年目になり、興味深いデータが蓄積してきました・・・
調査は校内のコナラ林にシードトラップという装置を置いて落ちてきた雄花や堅果(ドングリ)を集めてその量を調べると言うものです。
雄花は受粉が終われば落花するので、その年の雄花量と種子生産量と関連性が有るのか、ドングリの落果量は何時、どのくらいあるのか、成熟・未成熟・虫害の割合はどうかなどを調べています・・・
ドングリ(堅果)の落果は5月~11月くらいまで続きますが、6月頃のピークには未成熟のドングリが落ちる生理落果、8月頃のピークにはハイイロチョッキリなどによる虫害の落果(↓)や台風被害による落果などがあり、9月以降に成熟したドングリの落果が始まるのが普通です・・・
樹の上で成熟し始めたドングリに卵を産む虫にはシギゾウムシやハイイロチョッキリがいますがハイイロチョッキリはお皿(殻斗)に穴をあけて卵を産んだ後は枝を切り落としてしまうのですぐ彼らの仕業だと分かります・・・枝を切り落とすのは他のチョッキリやシギゾウムシに卵を産ませないようにしているのかな?
しかし見事にすっぱりと切り落としますね・・・↓が切り口です。
さて、過去5年間のデータ(↓)を見ると校内のコナラ林では1年おきにドングリの豊作と凶作があることに気が付きますね・・・
そして着果した量は何十万個もあるのに健全な種子(成熟種子)が出来る量が年によって違っていて、これによって豊凶が現れることがよく分かりますね・・・
雄花の量と着果量は平成24年~26年のデータでは関連性が有るかなと思っていたのですが平成27年のデーターをみると関連性は薄いようです。
別の見方をすると堅果を成熟させるエネルギーを使わなかった次の年の雄花の量が増えているので花芽形成にエネルギーが多く回ったと言えるかもしれませんね・・・
でも豊作年はエネルギーを多く使うから花芽形成にまわらないと言う仮説も立てられるので、そうすると26年の着果量が多かったというデータはどう説明すればいいのだろう・・・ワカラナイコトバカリ
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ドングリの世界では健全な種子ができても鳥や獣たちに食べられ、虫たちに卵を産み付けられて芽を出す種子はごく一部になってしまうのです・・・
ちなみに1年だけの調査ですが健全種子が虫害にあった率は41%にも及んでいたのです・・・↓コナラシギゾウムシの幼虫
まだまだ分からないドングリの世界・・・学生さんにはこの調査を継続してもらっていかなければなりませんね!
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