遠藤こどもクリニックは小平市の小児科アレルギー科のクリニックです。こども達の近くにいる診療を心がけています。

腰痛とメタボからの脱却とアンチエイジングを決意した65歳体育会系小児科医の日記

麻疹の流行について

2007年05月25日 | 日記
麻疹は感染力が強く、流行性疾患のなかでも最も注意が必要な病気です。
以下の注意をお読みいただき対応してください。
流行は、主にワクチンの接種をしなかったひとに発症しています。しかしワクチン接種を受けた場合でも免疫ができない場合や、近年麻疹の患者数は減少したために麻疹ウイルに接する機会がないため、ワクチン接種後に再び免疫反応が刺激されるチャンス(ブースター効果)なく、抗体が低下し発症することもまれにあります。
流行は10代後半から30代までが主で、40歳以上の多くの方が高い抗体価を持つ年代には患者さんはほとんどいません。
予防には予防接種が最も有効で、現在は1歳の誕生日以降2歳までに公費で1回目の接種が受けられます。幼稚園や保育園の年長の年度に市から2回目の通知があります。いずれも出来るだけ早い時期に接種してください。
もし麻疹にかかったことがなくワクチンも未接種の人が麻疹患者に接触した場合でも、接触72時間以内にワクチン接種を行うと、発症を予防したり、発症した場合も軽症化できます。
予防接種により、95%のかたは免疫が得られ麻疹にかかりません。先進国では以前から2-3回接種が行われ、大きな流行はありません。(接種率95%以上)。2回接種をおこなうことにより99%に免疫が得られます。
日本では、ようやく2006年度から麻疹風疹混合ワクチン(MR)の2回接種が始まったばかりです。(2007年度の小学校の1生からが、2回接種対象となっています。)未接種の方は、出来るだけ早く予防接種を受けてください。
2006年度からの2回接種開始以前に1回のみ接種を受けた方でも、そのうちの5%の方は抗体価が低いか、ついていない場合があり、より安全な方法として2回接種をお勧めします。この場合は自費となります。
麻疹単独のワクチンの供給はほとんどありませんが、麻疹風疹の混合ワクチンは供給されています。麻疹に関しても同等の効果があり、同時に風疹に対しても抗体を作ります。以前に接種している場合、再度同じ予防接種を行っても、予防接種の副反応のリスクが明らかに増加することはありません。
接種希望の方は小児、成人いずれの場合も予約が必要ですので、受付にご相談ください。
以下に麻疹の主な特徴を記載しますので参考にしてください

麻疹はウイルスによる感染症で7-11日の潜伏期間の後症状が現れます。感染力は非常に強く、免疫を持たない方には次々に感染が広がる可能性があります。
カタル期:38-39度の発熱、咳、鼻汁などが現れます。見かけ上ひどい風邪の症状     で臨床的に区別はまだできません。
     3日間くらい持続します。一度やや解熱傾向になりますが、すぐに再度     高熱になります。この頃に口腔内に「コプリック斑」という麻疹に特徴     的な白い小さなプツプツが見られます。     
発疹期: 発熱が持続し、全身に赤い発疹が出現し、次第に発疹は癒合します。こ     れは4-5日間持続します。回復期:熱が下がり始め、発疹が黒っぽくな     り、色素沈着を残して消えはじめ状態も回復します。

 解熱後からさらに丸3日間経過するまでは感染力が残るので隔離が必要です。
 (診察を受け登園登校許可証をもらってください)

合併症:中耳炎、胃腸炎、肺炎、喉頭炎、脳炎(急性期の脳炎は1/1000‐2000人、罹患後10年以上経過して発症するタイプもまれにあります)
1000-2000人の患者さんが合併症から亡くなれる場合があります。
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