今日の記事は、ちょっと小学生日記みたいな綴り方です。
中学生日記だと、その年頃にありがちな精神的葛藤が表現を屈折させそうですが、小学生日記ですから、もうちょっと素直、というか、無邪気というか…
と言った途端に、「おまえは、現代日本の小学生の鬱屈した心理や小学校の教育現場の困難が何もわかっとらん!」とお叱りを受けそうですが、それはさておきまして、話を続けます。
今日の午前中、ヴァカンス前の試験の答案を学生たちに返却しました。個々の答案についての講評は、大学イントラネット内のこの授業専用のページにアップしておいたので、教室では、答案全般についての講評を述べました。その内容は、おおよそ一昨日の記事に公表してあるので繰り返しません。
今日の授業では、試験問題に関連した日本語のテキストを一緒に読みながら、日本の近代の特異性についての理解を深めることを試みました。
日本固有の近代化については、前田勉『江戸の読書会』(平凡社ライブラリー 2017年)の附論「江戸期の漢文教育法の思想的可能性―会読と訓読をめぐって」を読みながら、身分の尊卑を排除した漢文訓読体が幕末から明治にかけて四民平等の理念を体現する文体として機能したこと、神道非宗教論については、阿満利麿『日本人はなぜ無宗教なのか』(ちくま新書 1996年)を読みながら、その紆余曲折を経た形成過程を辿りつつ、表向きの政治的論理とそれと表裏をなす集合的心理、現代にまで及ぶその影響などを説明しました。
どちらの話題にもこちらの予想以上に学生たちが喰いついてきて、話し甲斐がありました。彼らがどんなところに関心を示すのか改めて確認する機会となりました。
その後、「おまけ」として、日本文化についての認識を深め、さらには一般教養をより豊かにするための推薦図書として、Michael Lucken, Le Japon grec. Culture et possession, Gallimard, « Bibliothèque des Histoires », 2019 ; Maurizio Bettini, Éloge du polythéisme. Ce que peuvent nous apprendre les religions antiques, Les Belles Lettres, 2016 ; Romain Graziani, L’Usage du vide. Essai sur l’intelligence de l’action, de l’Europe à la Chine, Gallimard, « Bibliothèque des idées », 2019 の三冊を紹介しておきました。
いずれも非常に優れた内容でかつ大変面白く読める著作です。二冊目については、2016年11月28日の記事から四日間に渡って取り上げていますので、そちらを御覧ください。 一冊目と三冊目については、後日記事にいたしますので、乞うご期待。今日のところは、出版社の紹介ページへのリンクを貼っておくだけにします。
「近代日本の歴史と社会」では、テーマをめぐる諸問題の理解を深めるための推薦図書ばかりでなく、一見授業のテーマとは何の関係もないような、しかし一般教養を豊かにし、自分たちが直面する諸問題を広く深く考えるために役に立つ本も併せて、毎回学生たちに紹介しており、その数すでに数十冊に達しています。その中の一冊でも学生たちが読んでくれれば、こちらとしては本望です。
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