今朝は、水面近くまで降りてきている朝霧と水面から立ち上る湯気とで、水面上は数メートル先も霞んでよく見えないプールで泳ぐ。一旦泳ぎ始めれば、水中はよく見えるから他の泳者と接触することはないが、こんな条件下で泳ぐのはもちろん初めてだ。これから冬にかけて、朝一番に泳ぐとすれば、日の出前に泳ぐことになるから、霧と湯気が漂う薄明の中、水中照明だけを頼りに泳ぐことになる。ほとんど幻想的と言ってもいいような雰囲気であろう。
帰宅して、机の前に腰を落ち着けて窓外に目をやると、昨日見かけた栗鼠だろうか、冬青の枝の上で、熱心に毛繕いしている。昨日はすばしっこく枝から枝へと移動していたのでよくわからなかったが、毛色は黒というよりも背側が濃灰色で、腹側は白い。掌に乗せられるほどの大きさ。なんという名前か、ネット上の動物図鑑で調べてみたが、該当する写真が見つからなかった。こっちがそんな「身上調査」をしているとも知らずに、毛繕いがすんだのだろうか、枝づたいにどこかに行ってしまった。
栗鼠がいなくなったと思ったら、樹の実を啄みにツグミが飛んできた。しばらくするとジョウビタキがそれに入れ替る。遠くの方ではまだ霧に包まれた空を鴉が飛び交っている。
昼に近づくにつれ、霧が晴れてゆき、薄日も射すようになった。
今日は古典漬けの一日であった。プールに行く前の早朝の数時間は、これからの講義のためのアンソロジー「萬葉秀歌」作成に没頭。万葉第一期・第二期についてはすでに作成済なので、今日は第三期の歌人たち、山部赤人、山上憶良、大伴旅人から主に選んだ。プール後は、ノートを作成しながら、中世文学の世界に浸る。『義経記』『曽我物語』『増鏡』『建礼門院右京大夫集』『方丈記』『徒然草』、特に最後に上げた二つの随筆文学の傑作は次回の講義のテーマになるから、この記事を書いた後、両者をまたゆっくりと読み直すことにする。
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