ルイ・ラヴェルは、身体的苦痛(douleur physique)と精神的苦痛(douleur morale)とを質的に区別した上で、前者を語るのに「痛み」(douleur)を用い、後者を語るのには「苦しみ」(souffrance)を用いることを提案する。
激しい身体的苦痛は、私たちの意識を支配し、あらゆる意識作用を一時的にであれ麻痺させてしまう。激痛のせいで他のことは何も考えられないという状態に陥る。それに対して、精神的苦痛は、私たちの魂の権能すべてを満たしてしまう。私たちがもっているすべての力を動員させ、それらの力を驚くべき仕方で発展させさえする。とすれば、精神的苦痛を語る際には、« douleur » ではなく、« souffrance » という言葉を用いたほうがいいのではないかとラヴェルは言う。というのも、痛みは、これを「被る」(subir)のに対して、苦しみは、私はこれを私のものとするのであって、それを排除しようとするよりも、その中に入り込もうとする。私が「苦しんでいる」というとき、それは、つねに、私が為している一つの行為(acte)なのである。
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