内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

お願いです、私にもう査読は頼まないでくれますか

2023-12-11 19:48:25 | 雑感

 今日は半日、ある学術雑誌から依頼された査読に没頭。一文にもならないが、他に引き受け手がなくて私のところに回ってくることが多いから、原則、引き受ける。困ったときのナントカ、ってか。
 が、自分たちの都合でかなりタイトな締め切りを要求してくるのはどうかと思う。だから、二つ返事では決して引き受けない。この期日まで待てるのなら引き受けると条件を出す。まあ、たいていは先方も最初から譲歩するつもりでいるようだし、よほど相手が無礼でないかぎり、こっちも最初から引き受けるつもりではいるのだが。
 今回の査読対象の論文は、戦後日本で目覚ましい活躍をしたある哲学者についての論文である。仏語圏ではまだまとまった紹介がされていない哲学者であり、論文の目のつけどころはよいから、よほどひどい内容でなければ、最初から好意的な所見を書くつもりでいた。それでもかなり丁寧に読んだ。
 結果、査定は、「そのままでは掲載不可。指摘された箇所を訂正すれば可」とした。問題設定はよい。参照している文献も適切。文章は全体として明快。ただ、いくつか事実誤認がある。最大の問題は、メインテーマについての考察が中途半端であること。引用に見られる誤訳からして、日本語文献が十分に消化できていないことがわかる。
 な~んてね。よくもまあ、もっともらしいこと言うよなあ、って自分でも思いますよ。人の批判している暇があるなら(ないですよ、そんな暇)、テメエの論文もっとましなものにしろよってか。言われなくても、そんなことわかってるわい!