内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

対面・遠隔併用授業という重労働

2021-03-02 23:59:59 | 講義の余白から

 昨日から対面授業が部分的に再開され、私が担当している学部の三つの授業の内の一つも今日から対面授業が再開された。その他の授業と修士の演習は遠隔のままである。
 対面授業が再開されて、仕事量がさらに増えた。対面授業に正当な理由で出席できない学生たちのために別途に録音授業を準備しなくてはならないからだ。教室での授業をそのまま録音したものを配信する気にはなれない。ストリーミングで流す設備は限られた教室にしかなく、また仮に自分が使う教室にそれがあったとしても私は利用しないだろう。なぜなら、対面と遠隔では話し方も授業の構成も時間の流れ方も違うからである。
 対面授業では、途中でいくつか質問があるのが普通だし、こちらがその場の思いつきで冗談を言うこともあるが、共有画面のスライドを眺めながらそれらを聞かされるだけの遠隔の学生にとっては、それらの部分は冗長だったりよく聞き取れなかったりすることもあり、とても集中していられないだろう。そんなことで講義を受けたことにされては、遠隔の学生に対して不公平だと私は思う。
 だから彼らに対しては別に録音授業を準備する。基本的には、教室で話した内容を繰り返せばいいわけだが、原稿を読み上げるわけではないし、教室では気にならない無駄な要素を排除する一方、教室なら身振り手振りで伝わることも遠隔では伝わりにくいから、それらの要素については遠隔に適した仕方で補う必要がある。
 ハイブリッドとかカタカナ言葉を使えば、なんか格好良く聞こえるかも知れないが、実情は重労働である。