内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

この夏の日本滞在最終日に思うこと

2016-08-17 15:19:19 | 雑感

 後九時間余りで帰国の途につく。その直前に、まったく私的なことだが、ちょっとがっくりくる知らせが入り、気持ちが沈んでしまっている。
 それはさておき、昨日の拙ブログの記事について一言記して、この夏の日本滞在中のブログの締め括りとしたい。
 普段、拙ブログに頂戴したコメントへのお礼の意味で他の方のブログを訪れ、そこにコメントを残すことはあっても、それ以外の理由でコメントを残すことは一切ないので、その当然の帰結として、拙ブログにコメントを頂くことはほとんどない。あったとしても、こちらのブログの内容には関係なく、こちらが関心も持てないような話を一方的に述べるだけのようなコメントで、それに対してお答えすることはない。私もそれほど暇ではないのである。
 ところが、昨日の記事に対しては、その内容に感応してくださった方たちからコメントを頂戴した。それだけ無関心ではいられない内容だったということなのだと思う。その方たちにはここに心より感謝申し上げます。
 人間中心主義的な人類世に対して、しかし、個人が個人としてそれをどうにかすることはできない。個が属する種を媒介として類のレベルでの変化が起こらないかぎり、地球規模では何も変わらない。
 個としての人間を相も変わらず責任主体として問題を立てているかぎり、「輝かしい」人類世をこの地球にもたらした近代の枠組みを一歩も超え出たことにならない。その枠組みの中には、そもそも人類世の将来に対する責任主体は存在しない。
 それにもかかわらず個に責任を還元し問題の所在を隠蔽する狡猾なる権力に騙されないように、あるいは近代理性の狡知に欺かれないように、私たちはせいぜい気をつけなくてはならない。