南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

歴史から学ぶ“基本的理念”

2012-07-20 17:05:06 | ユニオン
「労働者が自由と幸福を得るのは、自分たち自身の力によってのみ可能となる」
「資本主義の下で、お金は過剰となっているのに、圧倒的多くの労働者は衣食にも事欠き貧困生活から抜け切れない」
「それを救うのは唯一“協同の理念”である」
今聞いてもまったく違和感がないくらい現代世相を反映している文章です。
これはイギリスの思想家「ロバート・オウエン」(1771年‐1858年)の言葉です。

ロバート・オウエンの影響を受けて、1844年「ロッチデール公正開拓者組合」が誕生します。
これがロッチデールが消費生活協同組合の発祥地であるといわれる由縁です。
またオウエン自らも労働運動に身を投じ、多くの労働組合が誕生していきます。
ドイツではライファイゼンが農業協同組合をつくり、こうした協同組合運動は瞬く間に世界中に広まっていきます。
しかし…時は過ぎて…。

グローバル経済の下で競争が激化していきました。
利益を求めて巨額なマネーが世界中を駆け巡ります。
リーマンショック後、世界経済は不安定さを増します。
営利を目的としない協同組合には経済を安定させる力がありますが、現代においてその存在感はずい分と弱まっておりました。
協同組合のルーツを知る人も少なくなりました。

そうしたなかで協同組合への関心を高めるため、2009年の国連決議により、国連が2012年を「国際協同組合年」と宣言しました。
そして国際協同組合年の目標をこう定めました。
(1)社会・経済に対する協同組合の貢献についての認知度の向上
(2)協同組合の発展
(3)協同組合政策・制度の整備

また中央労福協では、2009年に「労福協の理念と2020年ビジョン」を掲げました。
このなかで戦後間もなく労働界が中心になって、労働金庫や全労済を産みだし育て上げていった経過が語られています。
その後市場経済至上主義が日本社会を席巻し、急速に広がった貧困・格差社会の現状を憂い、その市場経済の暴走をとどめることができなかった原因も的確に分析しています。

この“2020年ビジョン”は連合評価委員会最終報告書と対で読まれるべき冊子です。
労働運動の理念と福祉事業団の事業遂行とを、どう両立させるかが課題であることや、その両立をやり遂げる覚悟を私たちに求めています。
そして最終的には労働者福祉を担う人材の育成・教育活動がきわめて重要であると結んでいます。