南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

心の拠り所

2010-05-26 19:24:54 | ユニオン
今日は労働委員会で担当していた事件がひとつ解決しました。
2時間あまりの調停ですが、なんとか和解が成立できるように集中しますので、終わるとぐったりしてしまいます。
それでも解決すると嬉しいものです。

昨日の「関東ブロック労働委員会三者連絡協議会」で、私はひとつの提案をさせていただきました。
それは心の悩みを抱える労働者の救済機関としての機能を労働委員会が持てないかということです。
現在労働委員会で取り扱う事件は、あくまで労働法に関連する内容だけです。
解雇問題を筆頭にして深刻な問題も多いわけですが、心に傷を負って自らの命を絶つ労働者の問題はそれ以上です。
自殺者が3万人を超えて10年、有効な改善策や救済システムはまだ整備されておりません。

例えばパワハラによってあなたが“うつ病”になってしまったとしましょう。
なんとかしてそのパワハラを止めさせたい、職場を変えたいと願いますが、会社は応じてくれません。
あなたはどこへ相談しますか?

会社からしばらく休むように言われて心療内科で治療しました。
3ヶ月間の治療の甲斐あって医者から職場復帰可能だと言われ、喜んで会社に戻りたいと申し出ますが、会社は認めてくれません。
さて、あなたはどこへ相談しますか?

労働局に相談し会社に助言してもらうことはできますが、指導までは難しいと聞きます。
あっせんに委ねたり、ユニオンに加盟して交渉する手もありますが、会社との関係が気まずくなる恐れがあります。
願うことは職場復帰であり、健全な職場環境の実現です。

こんな悩みを抱える相談者がずい分増えています。
もし労働委員会でその悩みを聴き取り、使用者側委員とともに会社と丁寧なやりとりをすることができたとすれば、大変有益な救済機関になるはずです。
心の悩みの原因を特定するのは難しいかもしれません。
しかしその悩みをうまく聴き取り、会社側に理解させることがどうしても必要です。
それは労組法上の問題ではなく、ある意味民事的な問題かもしれません。
そんな灰色の部分ではありますが、誰かが、どこかが救わなければなりません。
“心の悩み”をもつ人々の“心の拠り所”をつくりたいものです。