南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

「円キャリー・トレード」

2007-01-14 16:48:25 | 経済

国家の財政政策や金融政策の役割が弱まり始めた。
為替レートは変動相場制の下で、ある意味公正に動いていた時代もあった。
日本の円を例に取れば、円が安くなると輸出競争力が増し、国民所得が増加し、金利が上昇する。
世界基準の金利よりも上昇すれば、当然、世界のマネーは円を買い、結果円高に動く。
円高になれば輸出競争力は弱まり、国民所得は減少し、金利が低下する。
金利が低下するとマネーは金利高の外貨へシフトし、円安に動く。
そういう具合に世界全体の経済がぐるぐると回っている。

グローバル化と規制緩和の市場主義万能の現代、過去にはなかった新たな問題が発生している。
実体経済と異なるマネーゲームの世界がそれである。
一例を挙げれば円安を生み出していると見られる「円キャリー・トレード」。
キャリートレードとは教科書的には、「金利の低い通貨で借り入れ調達した資金を、外国為替市場で金利の高いほかの通貨に交換し、その高金利で運用して金利差収入を狙う取引」である。
円を低金利で借り、高金利の欧米の株式や債券に投資する取引をすれば、無から有を産み出せる。

見えないものが見える」人たちは、こうしてビッグマネーを手に入れる。
しかし、いつまでもこの「円安バブル」は続かない。
いつの時代もバブルは破裂し、最後列に並んだ庶民が割を食う。
実体経済にそぐわない為替は強制的に動かされる。
85年のプラザ合意を思い出していただきたい。
内需拡大こそがなによりの特効薬になる。

政府与党と財界の決断を求める。
もう2度と「失われた10年」を繰り返してはいけない。