旅とエッセイ 胡蝶の夢

横浜在住。世界、50ヵ国以上は行った。最近は、日本の南の島々に興味がある。

ヤンゴン徒然 ⑤ カチンのエリ

2020年10月03日 21時08分00秒 | エッセイ
ヤンゴン徒然 

⑤ カチンのエリ

 昨年、学校での初出勤の日に、同僚の先生方を紹介された。全員ミャンマー人で、この学校のNo.2 の立場にあるジョー先生。彼はラカイン州出身(ミャウーの近く)で、日本の愛媛大学で教育学を勉強した。

 まだ若いのに、大変な学識の持ち主で、こちらの高校では何故か生物の先生をしていたそうだ。ラカインの人らしく熱心な仏教徒で、ジョー先生の仏教の話はとても奥が深い。

 ハンサムなうえに穏やかな彼は、日本人の生徒(男性も、特に女性陣から)絶大な人気を得ている。こんな小さな学校(ごめん、スズキさん)にいて宜しいのか?と思う人材だ。

 あと、毎日出勤する女性教師(英語とミャンマー語を教える)が3人、事務・会計の女性が一人。授業の時だけ顔を出す先生が数人いる。ここにも興味深い女性がいるが、ここでは省く。

 事務のナンダーちゃんとは、以前の来緬で2回会っている。この娘は面白い。日本語は相当出来る。彼女はミャンマー人には珍しく、超内気で真っ暗、根暗で、おまけに腐女子だ。

 でもそれだけじゃあない。ナンダーちゃんの事を語りだしたら、数ページでは収まらない。またの機会にしよう。

 3人の女教師(ミャンマー語でセヤーマ)は、半年前から勤めている。一人は、皆さんご存知のニイニイ先生。子犬救出の天然ボケ美人。一人はショーン。

 ショーンが一番若くて21歳。この娘、一見取っ付きにくい。何か怒ってる?それとも機嫌が悪いの?良家のお嬢で、名門外語大卒。パリでフランス語を勉強し、今はスペイン語を習っている秀才。

 見た目は可愛いのだが、メガネをかけてニコリともしない。言いたいことはバシバシ言って、なかなかに説得力がある。でも数か月暮らすうちに、彼女のことがだんだん分かってきた。
 
 料理上手で、溢れんばかりの優しさを持った娘だった。本当に優しい。一見真逆なのだが。笑顔が素敵なのに、なんでもっと出さないのかな。もったいない。

 そしてエリザベス。えっ?エリザベス?で顔を見ると、木綿のハンカチーフ。4人の中で一番、アジアっぽく、また日本人っぽい。都会の娘には見えない。田舎の妹?チャンチャンコを着てもらえば、日本昔話に出てきても違和感はない。

 小柄でちょいポチャ。22歳だが、高校生くらいに見える。でも地元の英語弁論大会で優勝した、頭の良い娘さんだ。彼女は、カチン族でクリスチャンだ。エリザベスは、洗礼名なのだ。

 他の3人(ニイニイ、ナンダー、ショーン)は、お金持ちのお嬢さんだが、エリは毛色が違う。後で親しくなり、色々教えてもらった。彼女の田舎からヤンゴンまで、バスで丸二日かかるそうだ。48時間。ヤンゴンに来てから、2回インフルエンザにかかったというから、よほど空気が綺麗な所で生まれたんだろう。もちろん海を見たことはない。

 お互いにミャンマー語、日本語を教え合ううちに、一番仲良くなった。カチンのことが、少しづつ分かってきた。実は、カチン族という部族がいないことも。

to be continued,
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