旅とエッセイ 胡蝶の夢

ヤンゴン在住。ミラクルワールド、ミャンマーの魅力を発信します。

今は、横浜で引きこもり。

完熟ゴーヤ

2016年11月02日 17時26分46秒 | エッセイ
完熟ゴーヤ

 狭いスペースの庭を2回耕し、肥料を埋め込んだ。耕したのは自分なので、何を植えるのかは決めてよい、と言われた。誰にかって、カミさんに。
んっ?これって体よくこき使われているだけなのでは?今年の4月頃の話だ。
 何を植えるか、食える物に決まっている。だがヘチマと大瓢箪も捨てがたい。ヘチマとひょうたんも若い内は食えるが、保守的なカミさんは絶対に調理しない。瓢箪は以前すごく繁殖して30cmを越えるのがいくつも出来、電線にまで伸びていった。瓢箪の実が古くなり乾いてから採って水に漬ける。中身を腐らせて突いて出す。なかなか立派な瓢箪水筒(酔拳みたいに酒を入れる?)がいくつか出来たが、使い道はなくどこかに仕舞われた。
 ヘチマは中途半端に採ってしまうとイカン。これも徹底的に枯れるくらいまでぶら下げておくこと。水に4-5日漬けておくと、きれいに繊維部分が残ってヘチマスポンジになる。40cmはある立派なものだが、結局使わなかった。これじゃー意味がない。うわっ、関係無いヘチマと瓢箪の話、長かったー。
 結局つる物は無難なところでゴーヤにした。ゴーヤならほぼ確実に収穫出来るし、2階のベランダにまで葉が伸びれば楽しい。大ヘチマと大瓢箪なら見た目、もっと楽しいが。キューリは必須だ、当たり前。「今日のサラダもうちで採れたキューリ」とかカミさんが言いだすのが、うっとうしくも嬉しい。最初に出来る化け物ウリのような、つるつるの巨大キューリが下草の中から姿を現すのも楽しい。これは一夜漬けにしてバリバリと食う。
 茄子、これは獲物としてはキューリ2本分に相当する。料理のバリエーションも多くて、歓迎されるアイテムなのだが、中々育たない、難しい。今回植えられる苗は、間隔を考えると8~9、茄子はうまく実らないからいらないよ、と言われたがまあ一つは欲しいな。近所のDo it yourselfの店に行ったが、野菜コーナーが意外と冴えない。ゴールデンウィーク前だからか。結局ゴーヤx1、茄子x1、キューリx4、トマトx4を買った。
 他に唐辛子、ピーマン、トウモロコシ、シシトウ等が候補だ。あとカボチャ、これはもし小さいのが出来たとしても、きっと美味くない。トウモロコシは何本も植えないと駄目。ピーマンはそもそも好きじゃあない。まあピーマンも完熟して赤ピーマン(パプリカは別種のピーマン)になれば一段昇格、幕の内。それでも嬉しくはない。好きにならない、美味いか、あれ。
 シシトウや唐辛子は収穫出来ても数本でつまらん。紫蘇は元々植えてある。トマトも好きじゃあないが、確実に収穫出来て、しかも実のなる期間が長い。キューリは挿し木の苗、トマトは大玉x1(結局実らなかった)、ミニx3(赤、尖った橙色、黄色)。結果キューリは4本中3本で実がなったが、収穫最盛期は短く今一つ物足らなかった。茄子はやはり草が伸びず、葉が虫に食われて穴だらけになり、ひねた茄子が1-2ヶ。ミニトマトは実り、毎日食うハメになった。11月に入るが未だちょっと生る。
 ズッキーニならどうよ。ズッキーニは種から植える。これも雑草のように繁茂して実をつけるが、場所をとってイカン。それにズッキーニは(少なくとも家で採れたのは)キューリほど瑞々しくない。うちでは格下扱いだ。幕下か序二段、ゴメンね。
 大収穫はゴーヤだ。何故か一つの苗が二股に伸び、2階のベランダに届いた。黄色い花が咲き、次々に実がなった。今年の夏はニガウリ三昧。ベランダで手を伸ばして収穫したのも5-6ヶある。そのまま調理すると激しく苦いが、水に晒すとマイルドになる。しっかし苦い味を楽しむなんて変態かもね。苦いヤバい、で口から吐き出す子供が正しい。紫イモとかアケビとか、紫っていったら食物が腐った時の色だから、本能で避けるのが人間。
 ゴーヤは葉が茂って、一本の苗から成長したとは思えないほど幅を利かし、隣のトマトとキューリを浸食して局部的ジャングルと化した。こうなると緑の実を見つけるのが難しい。特に自分はちょっと庭にいると4-5ヶ所蚊に食われる。カイーよ。実生活でこれだけメスに好かれたら楽しいのだが。葉に隠れて見落としたゴーヤは黄色くなってしまう。この黄色くなったゴーヤを棄ててしまったが、あれは間違いだった。黄色く熟したゴーヤは食える。しかも苦くはないらしい。
 そーか、ゴーヤは熟すまで鳥に食われないように保護色をして、俺を食うのか、苦いゾ、苦いゾと言っている訳だ。熟したら黄色く目立って、あたしを食べて。しかし鳥に味覚はあるのか。何か丸飲みのイメージだが。ではゴーヤは南方の植物だから、リスやサルに向かって苦いゾ・もういいのよコールを送っているのか。はっきり言えよ、ゴーヤ。
 採り忘れて完熟したゴーヤを見て魂消た。こりゃー悪魔の花じゃー。真黄色の実は熟し過ぎてパカっと口が裂け、下半身が破裂している。そこから毒々しい赤い実がオレンジ色の果肉の中、ねっとりとしたゼリー状の果液にブツブツと浮かんでいる。毒液、もとい果液は溢れてツツーと垂れ下がっている。地獄の実だ。ハーっと瘴気を吐き出しそうだ。虫でも獣でも殺しそうな勢いだ。とても食ってみようなどとは思わず、実の根本を切って叩き落とした。ベチャ。すげーインパクトだった。流石は南方の草だこと。
 ところが最近、ネットを見て知った、甘いんだと。あの赤い種の周りのゼリー状の果肉は上等なメロンの味がするそうだ。種は食えずに捨てるらしい。でもあれを食うのはちと勇気がいる。今度チャンスがあったら試してみよう。
 何事も智識だ。植物に詳しい人にはサバイバルの技術がある。薬草に詳しければ呪い師になれる。ハコフグと針千本には毒が無い。いやハコフグはまれに毒を持つので要注意。ゴム製の救命ボートに乗って50日だか漂流した人の本を読んだが、針千本を仕留めてクソ、フグかよと遠くにぶん投げていた。ボートに穴が開いたら困るしね。でも食えたのよ。沖縄では御馳走。
 海水も少々なら飲んでも良いのだ。『1日に800mlなら海水をそのまま飲んでも5日は死なない。』という。飲まなきゃ3日ともたない。また『海水1に対して真水2の割合で薄めれば海水も害はなく、生き延びることに寄与する。』そうだ。ただ個人差があるから、実験は自己責任で。サバイバルはプラス思考と意志が物をいう。
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