少しサマになってきた？

１９７３年か７４年頃、通信販売の安いギターを買おうと勝手にクレジット用紙に
親父の印鑑を押した。もちろん見つかってそのギターは幻となった。

初めてギターを買ったのが中二の頃、当時のフォークソングに夢中だった。
当時のスターたちは今も殆どが健在だ。
あの頃の音楽がいかに良質だったのか？あるいは音楽が少なかっただけなのか？　
どちらでもいいけど僕はあの頃の音楽が好きだ。

８０年、大学生になって家を出た。
世の中の音楽はフュージョン、テクノが新しく、髪をおっ立てたパンクロックも
カッコいいと言われていた。８ビートから１６ビートへ・・・音楽は
どんどん細かく刻まれて隙間がなくなっていく。世の中８０年代！
７０年代の音楽は古く、フォークソングのゆったり感や哀愁は
最もカッコ悪いモノに見え始めた。

バンド仲間でアコギを持ってるやつなんていなくなった。
僕はキーボードに転向し新しいことをやろうとしていた。
誰にも習うことはなかったけれど誰にも負けたくなかったので
新しいキーボードを買い新しいことにチャレンジした。
凝り性も手伝って何でも新しいものに手を出した。
お金も使った。音楽の最先端を走っていると錯覚した。

いろいろやったけどあまりモノにならなかった。
４０歳も過ぎた頃、たまたまフォーククルセイダースの再結成コンサートを見た。
もう６０歳近い加藤和彦氏がとてもカッコよく映った。
マーチンのギターの音が素晴らしく、もう一度ギターを弾きたいと思った。

そうやって一本、また一本ギターが増えてきた。
凝り性なのは相変わらずだ。
最近「尚志、ギター上手くなったね！」と言われることがある。
「えっ、嘘やろ？そんなことはない！」と返すけれど、決して嫌ではない。
ワンパターンだけど、何とか弾いて歌えるようになった。

アコギもいろいろあるけれどやっぱり好きなのは６０～７０年代のフォークの音、
オベーションは好きになれない。

ギターを弾くこの写真、「サマになってる！」って言われた。
そうかな・・・・・。

写真：たまのすけ

北村尚志　ギターを弾いて