2024年09月07日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア科学研究機関 バレンツ海タラバガニ資源調査完了]
全ロシア海洋漁業研究所ヴニロ北極地方支部ピンロは、主にバレンツ海ロシアEEZのタラバガニを対象とした資源調査を完了したことを発表した。
調査航海は150のトロール・ステーションと150の海洋観測ポイントを設定し行われ、タラバガニの空間分布の特徴、パターン、サイズ、性別構成、成熟度、繁殖力、外皮の状態、また、そのほか底魚の資源状況、包括的な海洋に関するそれぞれの情報が収集された。
バレンツ海のタラバガニは、旧ソ連によって極東海域から移植され、2000年代に定着、繁殖を続けた。
この繁殖により、隣接するノルウエーも年間約2,000トンのタラバガニをバレンツ海で漁獲してきた。
一方で、2021年、スペイン紙”ラ・バングアルディア”はノルウエーの漁業者と環境保護団体が、ロシアの漁業活動の漁獲努力の生態系への悪影響、漁具被害等に関連し批判していることを伝えた。
これを受け、ロシア漁業庁は、1990年代半ばから、ノルウエーのタラ漁業者らが”スターリンの赤軍”(Красной армией Сталина:クラスノイ・アルミエイ・スターリナ)と呼び、タラバガニの移植事業を批判する動きがあったが、2010年頃から、ノルウエーは、堂々と”ノルウエーのタラバガニ”と称し宣伝、漁獲、販売しており、”ロシアの起源”であることさえ忘れているようで、この”侵略者”への主張の変化が全てを表していると反論、FAOのデータを引用し、漁具のデザインの変化等で問題は解決され、”期待されたタラ資源の急激な減少”は実現しなかったと皮肉に言及、移植タラバガニが、今のノルウエー漁業に莫大な利益をもたらしていると加えた経緯がある。
今年2024年漁期、ロシアのタラバガニのTAC設定は、極東海域1万6,060トンに対しバレンツ海1万2,690トンで、その比率が56%:44%と接近してきている。
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