黄色い拍子木

たまのをよたえなばたえねながらへば しのぶることのよわりもぞする

noire

2008-02-11 02:01:35 | Weblog
夕食に作ったかす汁を器に盛り、いざ食べようとした時に
会社の携帯電話がなりました。訃報でした。金曜日までごく
普通に仕事をしていた、同じグループの方がお亡くなりに
なったとの事でした。

あまりに突然の事でしたので、現実感は無く、狐に抓まれた
ような気分でした。それでも頭によぎったのは「礼服を
持っていない」ということでした。時計は20時。夕食はその
ままに、街に向かいました。黒いスーツを買うために。

こういうとき、街って便利ですね。こんな時間なのに開いて
いるスーツ屋があるんですから。スーツ屋に着くと、店の
方はもう後片付けを始めている頃でした。見比べたり、着比べたり
せずに、とりあえず黒いスーツ(礼服ではなく、黒いスーツ。
色々頭をよぎったのです。貧乏性ですから)を買いました。




今、不祝儀袋に名前を書いています。でも、実感湧かず。
私だけはめられて、ブラックジョークでした!なんてオチがある
のではないだろうか、スーツまで買っちゃって馬鹿じゃないの?
なんてオチがあるんではなかろうか。それとも夢オチ?…だと
いいのに。

生きている事はとても忙しい事です、ありがたいことに。
身内でなくとも、こんなに考えたりしなくてはならないことが
あるのですから。

湯船に浸かり、色々と考えて見るもやはり実感湧かず。でも、
この地球の上の何処を探してもその方はもういないのです。
どこにも、いつでも。死は定めであるけれど、あまりに早いと
思うのです。早過ぎて、私はそのスピード感についていけずに
ハングしているのかもしれません。

そして、このことをここに書くのは、この部屋にこの気持ちを
分かち合えず人が誰もいないからです。ええ、だれも。誰か、
と思っても、ここにはいないのです。

今日、枕元に立ってくれるでしょうか。
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