法科大学院の授業や学部ゼミでは、
「準備書面書くつもりで、この事案の原告側の主張まとめよ」
みたいな課題をといてもらったりするわけですが、
ときどき、うむむ、と思ってしまうことがありまして、ご参考までに一言。
こういう課題を採点する場合、
まあ、問題提起、論証、結論という流れがちゃんとできているかとか、
論点を拾えているか、キーワードが適切に使えているか、
ということが採点基準になるわけですが、
そして、これが採点基準になることは、
多くの人が理解しているわけです。
ただ、論証の試験に必要なことってそういうことに限られないわけで、
論証に神経が行き届いているか、ということが大事になってくるわけです。
例えば、ときどき目的手段審査をする中で、
1「この規制(法令又は処分)は目的が違憲である。
よって、原告の主張は認容されるべきである。」とか
2「この規制は、手段が違憲であるから、原告の主張が通る」といった文章を見かけます。
ただ、目的手段審査をする場合、目的は正当だったり重要だったり不当だったりしますが、
それ自体が違憲ということは、意味はわかるけれども、厳密にはあり得ず、
「目的が不当である(重要でない)。
よって、この基準に照らすと、この規制は正当化できず、無効となる(98条1項)。
とすれば、この規制は存在しないことになり、原告の請求を妨げるものはない。」
的な文章にする必要があるわけですね。
その他の試験でも、論点やキーワードや論証の流れに問題がないのに
なぜ、得点が伸びないのだろう?とお悩みの方は、
「目的が違憲」的な文章で、何を言いたいかは伝わるわけですが、
こういう文章を見ると、どーも緻密でないなあ、ちゃんと要件がわかってなさそうだな
という気配になり、
全体がこういう何となくわかるけど、条文や要件との関係が良くわからない
という文章をつなげていってしまった結果、
大きく減点される、という可能性があるのでは、
と考えてみると、よいのではないかなあ、と思うわけですね。