米澤穂信さんの『インシテミル』を読みました。
映画を見た後、本屋によってぱらぱらとめくってみたら「面白そうな予感」がしたので購入したんです。
↓映画の感想はこちら。
2010年10月24日 インシテミル
…そしてやはり面白かったです。
どうしても映画は本には敵わないでしょうか。
映画は決まった時間で上映しなければいけないので、本で描かれている細かな描写はどうしても省かないといけないところも出てくるでしょう。
じゃあ時間をたっぷりとって(例えば連続ドラマなどにして)描写を増やしていくと本に匹敵するものができるかというとそういう気もしないです。
本は自分の頭で想像しながら読むので、きっと読む人によって思い浮かべている映像は結構違うと思います。
だから映像化されると「何か違う」と思ってしまうのでしょう。
ただ映像が優れている面もあります。
たとえば、『インシテミル』は映画を先に見たので、ある程度、状況を想像するのに役立ちました。
少し現実離れした世界というのは(型が固定されてしまうかもしれませんが)作られた映像が想像を助けてくれます。
あとは登場人物のイメージとか。
登場人物こそ、読者によって千差万別、いろんなイメージをもちますよね。
自分の場合は、たとえばガリレオシリーズはもう福山雅治さんで固定されてしまっています。
それぞれ優れている面、欠けている面がありますが、今回は本のほうがおもしろかったです。
以下、登場人物と武器について映画と小説で違った点などまとめますので、まだ観ていない、読んでいない方は見ないほうがいいと思います。
-映画-
・登場人物(10人)
結城 理久彦(藤原 竜也)
須和名 祥子(綾瀬 はるか)
関水 美夜(石原 さとみ)
大迫 雄大(阿部 力)
橘 若菜(平山 あや)
西野 宗広(石井 正則)
真木 雪人(大野 拓朗)
岩井 荘助(武田 真治)
渕 佐和子(片平 なぎさ)
安東 吉也(北大路 欣也)
・武器
吊り天井のリモコン(圧殺)
ボウガン(射殺)
銃(銃殺)
火かき棒(撲殺)
弛緩剤(薬殺)
青酸カリ(毒殺)
ナイフ(刃殺)
斧(斬殺)
アイスピック(刺殺)
釘打ち機(撃殺)
-小説-
・登場人物(12人)
結城 理久彦
須和名 祥子
関水 美夜
大迫 雄大
橘 若菜→若菜 恋花
西野 宗広→西野 岳
真木 雪人→箱島 雪人、真木 峰夫
岩井 荘助(?)
渕 佐和子
安東 吉也
☆釜瀬 丈
・武器
吊り天井のリモコン→吊り天井の動作スイッチ(圧殺)
ボウガン(射殺)
銃→空気ピストル(銃殺)
火かき棒(撲殺)→(殴殺)
弛緩剤→ニコチン(薬殺)
青酸カリ→ニトロベンゼン(毒殺)
ナイフ(刃殺)→×
斧→手斧(斬殺)
アイスピック→氷のナイフ(刺殺)
釘打ち機→スリングショット(撃殺)
☆マンドリン(撲殺)
☆赤い丸薬(自殺)?
☆ウッドクラブ(爆殺)
☆紐(絞殺)
まず、登場人物は人数が違います。
まとめてみて気付いたのですが、名前が変わっている人物が数名と、小説の箱島、真木が1人の人物にまとめられています。
そして釜瀬は外されてる…
イメージだと映画の西野と安東が逆かな~という感じです。
あとは大体は小説と同じ感じでした。
登場人物が違えば武器の数も違うので、殺害される人物や殺害方法が小説と映画で入れ変わっているところもありますが、よく考えると殺害する側、される側が異なっているだけでパターンは踏襲されていたようにも思えます。
終盤に向かうとだいぶ違いが出てきます。
だから結末は映画と小説で異なります。
小説を読んだ人でも楽しめるような映画にされているのでしょう。
武器と言えば、数だけじゃなく少し内容も違っています。
そして実は小説のほうは武器が13種類出てきています。
ここに小説にはトリックが使われています。
12人に対して13個の武器、こういう矛盾が結構好きなんです。
さらに武器の説明が充実してます。
自分は小説を幅広くは読んでいないので知らない作品がほとんどでしたが、ミステリー好きの方は楽しめると思います。
映画のお陰でこの小説にたどり着いたという点で、映画を観てよかったです。
そして『そして誰もいなくなった』をもう一度読みたくなりました。