12月28日(金)
AM10時 寝床の扉を叩く音。
妻の声
「歯医者に行のでしょ」
忘れていた。
歯磨きもせず、飛び出す。
10時の予約。
11時に着。
本年最後の治療。
長い連休が続く。
待合室で、少し離れたソファで私の名前を呼ぶ老婦人。
隣に座る老人もにこやかに挨拶する。
「体調はどうかね」尋ねる。
私の前立腺癌発症を知っている。
診療所の医師と夫人。
住まいは、世田谷京王線明大前駅
歯の治療に2時間かけてやってきたのだ。
治療室は三つあり、小窓から80歳になる医師が
治療椅子に腰掛け、診察を受けているのは
奇妙に写る。
先に治療を終えて、待合室で夫人と近況を語り合う。
老先生は、左目が見えず、右目も視野が狭まった。
誤診、見落としがあってはいけないと閉院を決断した。
私は10年以上、診て頂いた。
穏やかに丁重、分かり易く説明され
近在の老人達から慕われ
やくざの親分も鄭重に老先生に挨拶する。
胃カメラ検査は、上手で苦しまず
気付くと終わっていた。
居酒屋大好きで、診察中に、飲み屋談義になり
暫し中断した。
息子二人も医師だが、長男は研究職として大学に残り
次男は名古屋で開院。
船橋の診療所は継がない。
患者のお年寄りは、他の病院を紹介されたが
呼吸が合わず困っている。
私も毎月、診断ができなくなり不安である。
医は仁術と言われるが、最近は
医は算術と言われ
医学部入学には、莫大な裏金が必要らしい。
閉院の後始末には、一年かかったそうだ。
5年分のカルテは保存義務があり
倉庫を借りて保管。
医療器具は、東南アジアに放出した。
今は、夫人が付き添い外出。
だが、ゴルフを週に二回するそうだ。
仲間が手助けしてティーの位置
ボールの行方を教えてくれる。
いくら 名医がいたとしても、万人の診察、治療は不可能
小さな町 その一隅にある診療所。
高齢化社会にはなくてはならない。
先生ありがとうございました。
機会あれば、桜上水 義仲で飲みましょう。
さても、私の主治医は今後どうするか?