2月28日(金) 本日、息子夫婦が同日誕生日、だからと言って
特別な食事をすることもないらしい。
私は夕方渋谷に向かった。
18時、渋谷駅交差点前は群集が整然と信号待ち。
外国人の西洋系、東洋系が混在する光景は
香港の街角を更に洗練した輝きが煌く。
世界中の人が驚く、青信号と同時に6方向から
前方に雑前と動き出す群衆が衝突することもなく
渡りきる。
1月24日にお袋の容態を見に行ったが
それ以来だ。
3階の病室でお袋は眠っていた。
ベッドの前に静かに座り、スマホを見ていた。
突然、お袋の声がする。
目覚めて、私に文句を言っているようだった。
恐らく、私が声も出さずにスマホを見詰めたいたことに苛ついたのだ。
口元の痰をティッシュで拭き取ってあげる。
相変わらず、ベッドの柵を叩き続ける。
19時半、弟夫婦が入ってきた。
毎日、見舞いをしているのだ。
弟は高井戸に会社があり、嫁さんは
近くの大学病院副院長なので
一緒に車で様子を見にくる。
お袋の容態は安定している。
介護施設で一番元気らしい。
20時、柳橋で買った焼き鳥を弟夫婦に渡し病院を出た。
薄明かりの松涛の邸宅外を抜け
無国籍人種?がたむろする渋谷センター街に出た。
前にカップルが歩いている。
女の子は大柄で男の子より頭一つ分高い。
男は女の子のウェストに腕回していた。
女の子のファッションが一際目立つ。
下半身がスーパーホワイトのチューリップの装い。
いわゆる、私のような年齢からすると
ブルマー型のチューリップが二本の茎で移動しているように見える。
カップルはセンター街の人込みに消えた。
渋谷駅地下鉄改札口に着いた。
改札口前で先ほど見かけたカップルが
抱擁している。
女の子が顔を下に向け覆い被さるように
男の子は顔を上げディープキス。
カップルも周囲も気にしている様子はない。
私は急いで電車に乗車して座った。
続いてホワイトチューリップの女の子が
私の真向かいに座った。
初めて正面から彼女の顔を見た。
茶髪にディープな化粧と目にはブルーのコンタクトを入れているようだ。
かなり前に
新聞で以下のようなキス研究論文を読んだ。
「オックスフォード大学の実験心理学科の研究者が、女性にとってキスは未来の伴侶を選別する上で重要な役割を担っているとする研究結果を発表した。「デーリー・メール」紙が報じた。
キスを通して伝わる感触や匂いを通して、自身との相性や相手の健康状態を半ば無意識に判断しているのだという」。
女の化粧、香水で感触を誤魔化されてしまうと
互いに勘違いして
喧嘩、別れ、離婚があるかなと思いつつ
車内で目をつぶった。
三越前駅で目覚めると
前の座席にはオバサンが座っていた。
30年後の彼女の姿なのか?