まーどんなぶろぐ

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■女流作家

2008年05月01日 | 日毎の些事
私は昔から、日本の女流作家の作品というと、なぜか時代小説中心に読んできたように思います。 杉本苑子さん、永井路子さん、宮尾登美子さんら…、 いずれも私の母親世代の方々だわ。

最近ようやく自分と同じ世代の女流作家さんの時代小説で面白いものに出会えました。 

昨年 『吉原手引草』 という作品で第137回直木三十五賞受賞した 松井今朝子さんです。
 参照 松井今朝子さんのHP   http://www.kesako.jp/

この受賞作 『吉原手引草』はとにかく構成が風変わりで、言葉では説明しにくいのですが、読んでいてどんどん引き込まれていく…、 終いまで読んであっ! なるほど、 とうならせる仕掛けがみごとです。

ご本人、松竹で歌舞伎に携わる仕事をされていたそうで、芝居のこと、江戸時代の風俗文化等に精通しているところが作品の随所にみられます。 『仲蔵狂乱』 はかつてテレビドラマにもなりましたね。 その他、芝居作者の見習いを主人公としたシリーズ 並木拍子郎種取帳 『一の富』 『二枚目』 『三世相』 の三冊。 ユーモア、ウィットに富んでいて楽しく読めます。

そして以前に新聞掲載として発表されたものを単行本としてまとめたのが 『そろそろ旅に』 (先々月発売)。

『東海道中膝栗毛』を書いた十返舎一九がまだ武士だった若い頃のお話。 しかし単なる人物伝で終わらせないのが松井さんのすごいところ。 この作品にも、ピリリと辛い山椒、それも大粒山椒が仕掛けられています。 さいごまで読んでのお楽しみ。