前回ガン免疫療法の勉強をして、その歴史的な面を書きました。
その研究が大きく進展するきっかけが、完全な免疫不全マウスでは、免疫を亢進させてもガン細胞に影響が及ばないことの確認と、ガン抗原の発見でした。
このガン抗原の発見は私の現役のころでしたが、免疫ではありませんがこれを利用した治療法が色々考案されていました。ガン細胞の表面に抗原があるのであれば、それを認識する抗体を作成し、その抗体に抗ガン剤を結合させ、ガン細胞だけに作用する抗ガン剤という研究もかなり盛んに行われました。このころはまだ抗体の作製から大量生産という手法ができていませんでしたので、単に研究にとどまっていました。
さてこのガン免疫に関与する細胞ですが、駆除する方向に働く細胞と生存および増殖を助ける細胞が存在します。前者がキラーT細胞(CD8陽性T細胞)、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞、マクロファージが含まれ、後者には制御性T細胞、骨髄由来抑制細胞が含まれます。
ガンの発生初期には、ナチュラルキラー細胞によりガン細胞が破壊され、その細胞片をマクロファージが取り込むといった流れで、免疫システムが出来上がりますが、この後は複雑ですので省略します。この流れの中でガン抗原ペプチドができ、これを認識することでガン細胞を攻撃する活性化キラーT細胞ができてくるようです。
ガン細胞には様々な免疫逃避機構があり、制御性T細胞による不活性化や抗原提示細胞の刺激タンパク質の機能低下などあるようですが、詳しいことはまだ不明な点が多いようです。
こういった免疫システムの活性化や制御には多くのタンパク質が関与していることが、1990年代に分かってきました。これらは免疫チェックポイントタンパク質と呼ばれ、多くの種類が見つかっています。
免疫を抑制するタンパク質の代表的なものが、CTLA-4と呼ばれるタンパク質です。こういった名前は英語の説明の頭文字をとって命名するようですが、もう少しなじみやすい名前にすれば少しはわかりやすくなるような気もします。このタンパク質は免疫応答を抑制することが分かり、このタンパク質の抗体を投与することで、1996年始めてガン組織の退縮が起きることが報告されました。
これをもとに2000年にこのモノクローナル抗体のヒトに対する有効性の評価すなわち臨床試験が開始されました。この評価では有効率23%程度と低いのですが、治療法のない悪性腫瘍を対象としており、その後イピリムバブとして発売されています。
その他PD-1というやはり制御性タンパク質を標的としたニポルバブも開発され、高額医薬として話題になりました。こういった薬剤は免疫の制御を外しますので、副作用として自己免疫疾患が出てしまいます。この副作用にどう対処するかが、今後のガン免疫療法の課題のようです。
その研究が大きく進展するきっかけが、完全な免疫不全マウスでは、免疫を亢進させてもガン細胞に影響が及ばないことの確認と、ガン抗原の発見でした。
このガン抗原の発見は私の現役のころでしたが、免疫ではありませんがこれを利用した治療法が色々考案されていました。ガン細胞の表面に抗原があるのであれば、それを認識する抗体を作成し、その抗体に抗ガン剤を結合させ、ガン細胞だけに作用する抗ガン剤という研究もかなり盛んに行われました。このころはまだ抗体の作製から大量生産という手法ができていませんでしたので、単に研究にとどまっていました。
さてこのガン免疫に関与する細胞ですが、駆除する方向に働く細胞と生存および増殖を助ける細胞が存在します。前者がキラーT細胞(CD8陽性T細胞)、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞、マクロファージが含まれ、後者には制御性T細胞、骨髄由来抑制細胞が含まれます。
ガンの発生初期には、ナチュラルキラー細胞によりガン細胞が破壊され、その細胞片をマクロファージが取り込むといった流れで、免疫システムが出来上がりますが、この後は複雑ですので省略します。この流れの中でガン抗原ペプチドができ、これを認識することでガン細胞を攻撃する活性化キラーT細胞ができてくるようです。
ガン細胞には様々な免疫逃避機構があり、制御性T細胞による不活性化や抗原提示細胞の刺激タンパク質の機能低下などあるようですが、詳しいことはまだ不明な点が多いようです。
こういった免疫システムの活性化や制御には多くのタンパク質が関与していることが、1990年代に分かってきました。これらは免疫チェックポイントタンパク質と呼ばれ、多くの種類が見つかっています。
免疫を抑制するタンパク質の代表的なものが、CTLA-4と呼ばれるタンパク質です。こういった名前は英語の説明の頭文字をとって命名するようですが、もう少しなじみやすい名前にすれば少しはわかりやすくなるような気もします。このタンパク質は免疫応答を抑制することが分かり、このタンパク質の抗体を投与することで、1996年始めてガン組織の退縮が起きることが報告されました。
これをもとに2000年にこのモノクローナル抗体のヒトに対する有効性の評価すなわち臨床試験が開始されました。この評価では有効率23%程度と低いのですが、治療法のない悪性腫瘍を対象としており、その後イピリムバブとして発売されています。
その他PD-1というやはり制御性タンパク質を標的としたニポルバブも開発され、高額医薬として話題になりました。こういった薬剤は免疫の制御を外しますので、副作用として自己免疫疾患が出てしまいます。この副作用にどう対処するかが、今後のガン免疫療法の課題のようです。
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