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「マイコプラズマ感染症」の潜在的な脅威とは

2023-02-01 10:36:34 | 健康・医療
私は一時抗生物質の研究をしていましたので、感染症には詳しいと思っていましたが、先日麻雀仲間が「肝膿瘍」という感染症で入院してしまいました。

この病気は初めて聞く名前で肝臓に細菌感染が起こったようですが、全く知らない感染症でまだまだ知らないことは多そうです。

最近タイ王室の王女がマイコプラズマ感染症とみられる病気で重体という報道がありました。マイコプラズマについては基本的なことは知っていましたが、どんな感染症なのかを紹介します。

マイコプラズマ感染症(マイコプラズマ肺炎)は、インフルエンザや流行性結膜炎などと同じ5類感染症です。国立感染症研究所のデータによれば、1医療機関当りの平均報告数は過去に流行の目安となる1.00を超える年もありましたが、最近は0.67と落ち着いています。

マイコプラズマ感染症はあまりなじみのない病気で報告数も少ないのですが、以外に患者数は多く新型コロナを含むほかの間質性肺炎の病気に紛れて実態がよく分かっていないという専門家もいます。

マイコプラズマは細菌ですが他の細菌と違って細胞壁をもたず、ウイルスと違って自己増殖するという細小の細菌で、ウイルスと区別がつかない臨床症状を引き起こす微生物です。

患者数は肺炎の10%から30%がマイコプラズマ肺炎といわれており、日本では100万人から200万人と推定されています。米国の疾病予防センター(CDC)によれば、その中の10%ぐらいが入院治療するとされています。

良い診断薬が無く従来の検査法やPCR、血清学的診断法などでは感染状態を把握するのは困難で、合併症の診断やコロナ後遺症との区別が難しいとされています。

報告数の少ない理由として、成人にもかかりますが小児や若年層の病気と思われているため、対象が小児科に偏ったものになっているようです。こういったことから細菌ともウイルスとも言えない特徴から、長らくマイコプラズマによる肺炎が見過ごされてきました。

最近になってマイコプラズマが免疫の仕組みから逃れ、毒性は弱いものの慢性的に炎症や組織破壊を繰り返していることが分かり、原因不明の肺炎にマイコプラズマによるものが多く含まれているのではないかと考えられ始めています。

予防に関しては飛沫感染や接触感染ですので、現在行われているコロナの予防対策が効果的としています。治療には抗炎症作用を持つ抗菌薬が使われますが、多くは自然治癒していると考えられています。

結局この感染症は診断が難しいため、なかなか呼吸器感染症と認識されないところが問題のようです。一般に毒性も強くありませんので、重症化の可能性が低いとして見逃されている病気のひとつのようです。


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