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何故新型コロナの重症者や死者は男性の方が多い

2023-04-15 10:36:58 | 健康・医療
よく女性は男性よりも病気に強く元気だといわれています。周りを見ても男性が先に亡くなった未亡人は見かけますが、逆はあまり見ないような気がします。

今はあまり聞かない未亡人という言葉で男性を表す表現はありませんが、この辺りは男尊女卑に関わる社会的な文化なのかもしれません。

平均寿命も男性は81.41歳で87.45歳(2021年)と女性の方が長生きになっていますが、この明確な理由はあまり説明されていません。最近の新型コロナ感染症でも、重症化する人や亡くなる人は男性が多くなっていますが、この原因についてなかなか面白い説が出ていました。

厚生労働省が出している累積の性別・年代別死亡者数では、60代男性が2773人で女性は922人、70代では男性が8097人で女性が3466人と明らかに男性より女性の方が少なくなっています。

これにはいろいろな理由が考えられますが、たとえば男性と女性とでは行動様式や社会活動に違いがあるなど曖昧なものが多いようです。ここでは性染色体や性ホルモンが異なることで、免疫反応に違いが生じるという説です。

ヒトの免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」がありますが、どちらも女性の方が強いとされています。たとえばガンによる死亡率は女性は男性の半分程度ですし、インフルエンザワクチンを接種した後の抗体価の上がり方は女性の方が強いことが知られています。

逆に免疫応答が強いが故に、アレルギーなどの自己免疫疾患は女性の方に多いことが分かっています。この理由としてX染色体不活性化機構が関与しているといわれています。

染色体は遺伝情報が詰まったDNAを折りたたんだもので、親から子に受け継がれる遺伝情報が納められています。ヒトには常染色体が23組(46本)と性染色体が1対(2本)あります。性染色体は性別にかかわる染色体で、通常は男性がXYで女性がXXとなっています。

このうちX染色体には自然免疫系遺伝子と獲得免疫系遺伝子が多数存在します。このままだと男性と女性の間で遺伝子量が変わってしまうため、女性の2本あるX染色体のうち1本を不活化する仕組みが備わっっています。

ところがこのX染色体不活性化機構には不完全なところがあり、結果として男性より女性の方が免疫に関する遺伝子が多く発現するために、女性は男性よりも感染症に強い反面、アレルギーが多いのではないかといわれているとしています。

このようなX染色体に免疫系遺伝子が多数存在するという事は初めてみましたが、このため女性の方が病気に強いという事は納得がいくような気がします。よくいわれる行動様式の違いなどよりは、科学的な説明になっているような気もします。


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