ごっとさんのブログ

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人の臓器を持つ動物を作る研究が解禁

2018-11-13 10:32:14 | 健康・医療
政府の総合科学技術・イノベーション会議の生命倫理専門調査会は、動物とヒトの細胞を混ぜた「動物性集合胚」を動物の子宮に移植して子を産ませ、ヒトの臓器を持つ動物を作る研究を条件付きで認めました。

文部科学省がまとめた指針改正案を了承し、改正手続きを経て来春にも動物の体内でヒトの移植用臓器を作る研究や、ヒト臓器を持つ動物で病気を再現し創薬を目指す研究を解禁することになりました。

動物性集合胚は。動物の胚(受精卵)にヒトの細胞を注入して作製します。ヒトと動物の区別があいまいな生物が生まれる恐れがあり、2000年制定のクローン技術規制法に基づく現行指針は培養を最大14日に限定し、動物の子宮に戻すことを禁じています。

当時はこの胚の成長の制御が難しかったのですが、技術が進んだことなどから、調査会は13年に条件を満たせば動物の子宮に戻すことを容認する見解を示し、文部科学省が5年かけて条件などを検討してきました。

私はやっとこれでヒトの臓器を動物で作るという、再生医療としては最も可能性が高そうな研究がスタートできるわけですが、本当に遅すぎたような気がしています。

既に動物ではこのブログでも紹介したように、例えばラットの腎臓をマウスで作らせ、これをラットに移植して尿を作らせるといった実験が成功しています。これは受精卵を遺伝子編集により特定の臓器を作らせないようにする技術や、臓器の芽となる細胞の取得が確実に行えるような技術が確立したことによります。

ヒトの臓器の場合は、ブタの受精卵にヒトの臓器の元となる例えばiPS細胞などを入れ、これをブタの子宮に戻して出産させるという流れになるようですが、これが可能な技術はほぼ完成しているようです。

今回の改正指針は、研究の実施機関と国の双方が研究計画を審査するとし、動物性集合胚のヒトの子宮への移植や、この方法で生まれた動物の交配などは禁止しています。

解禁は研究に限り、今回はヒトへの臓器移植は認めていません。ヒトのような外見や高い脳機能を持つ生物が生まれる可能性について、文部科学省は極めて低いとしており、こうした生物が生まれるのを防ぐ措置を求めています。

この改正のより具体的には、膵臓の異常による1型糖尿病の治療を目指して、ブタの胚にヒトのiPS細胞を入れてヒトの膵臓を持った子ブタを産ませ、移植しても拒絶反応がない臓器を作る研究などが進むと見られています。

調査会の会長代理は「ヒトと動物の境界があいまいな生物はかなりの精度でできない仕組みができている。科学研究の進展を期待している。」と述べています。これでやっと本格的な再生医療への第一歩が踏み出せるような基盤ができたようです。