万葉集を独自の視点で解説!
詠み人 柿本人麻呂 巻7 1289番歌
垣越(かきご)しに 犬呼びこして 鳥狩りする君 青山の しげき山辺に 馬息(やす)め君
(解説:垣ごしに犬を呼び出して鳥狩をする若者よ。青山の木の繁った山のほとりに馬を息めなさい、君よ。)
・・・解説・・・
人間の生活にもっとも身近な動物といえば、犬を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
古墳時代の遺跡から出土した犬の埴輪には首輪がついているものもあるのです。
古代では狩猟や番犬として、人々の生活に欠かせない存在であったようです。
今回の歌は「鳥狩」に訪れた若者と誘う女性の歌です。「鳥狩」はいわゆる鷹狩りのことで、鷹狩りには犬を連れていたようです。
その犬は、主人のもとを離れて先に走って行ってしまったのでしょう。主人はある家の垣ごしに犬を呼び戻そうとしています。
その家に住んでいたのが、作者の女性と考えられます。